ナニー(Nanny)の仕事とは?
ベビーシッターとの違いは?
年収・なり方まで徹底解説
あなたは「ナニー」という仕事を聞いたことはありますか?
メリー・ポピンズのように傘をさして空から舞い降りてくる魔法使いでしょうか。
それとも、英国の貴族の家庭で
子どもたちに厳しくも愛情深く接する教育係でしょうか。
ナニーはイギリスで発祥し発展してきた育児のプロフェッショナルです。
日本ではまだ馴染みが薄く「ベビーシッターと同じ?」
と思われがちですが その役割と専門性は全く異なります。
この記事では、そんなナニーという仕事のリアルを徹底的に解剖します。
ベビーシッターや保育士との決定的な違いから
具体的な仕事内容、そして日本での現状や年収事情まで
その奥深い世界へご案内します。
ナニーとは?ベビーシッターや保育士との決定的な違い
まず最も重要な、3つの職業の違いを明確にしましょう。
その役割は、似ているようで全く異なります。
・ナニー (Nanny)
育児の専門家・教育係
教育目的 子どもの全人格的な発達(しつけ、教育、情操)
働く場所 契約した家庭(自宅)
関わり方 長期的・深く家庭に関わる
雇用形態 家庭との直接契約(年俸制など)が多い
・ベビーシッター (Babysitter)
一時的な世話係
教育目的 安全の確保(保護者不在時の見守り)
働く場所 依頼された家庭(自宅)
関わり方 短期的・スポット的
雇用形態 時間給の登録制・個人が多い
・保育士 (Childcare Worker)
集団保育の専門家
教育目的 集団生活を通じた心身の発達
働く場所 保育園などの施設
関わり方 集団の中の一人として関わる
雇用形態 施設の職員(月給制)
簡単に言えば、ベビーシッターが「親の留守を安全に預かる」専門家
保育士が「集団生活を教える」専門家であるのに対し
ナニーは「家庭に入り込み 親と二人三脚で子どもの成長そのものをデザインする」家庭内教育の専門家なのです。
【最重要】ナニーの具体的な仕事内容
ナニーの仕事は、子どもの身の回りの世話に留まらず
その子の将来を見据えた全人格的な教育に及びます。
1. 生活全般のサポートとしつけ
食事、入浴、着替え、睡眠といった基本的な生活習慣を身につけさせます。
単に「やらせる」のではなくなぜそれが必要なのかを教え自立を促します。
テーブルマナーや挨拶といった
社会性を育むための「しつけ」も重要な役割です。
2. 知育・情操教育
子どもの年齢や興味、発達段階に合わせた教育プログラムを計画し、実行します。
- 絵本の読み聞かせ、知育玩具を使った遊び
- 音楽、お絵かき、工作といった芸術活動
- 外国語のレッスンや、学習習慣のサポート
- 博物館や美術館への訪問など、知的好奇心を刺激する体験の提供
3. 健康管理と身体的発達の促進
栄養バランスを考えた食事の準備
公園での外遊びやスポーツの付き添いなど
心身の健康な発育を促します。
子どもの日々の体調変化に気を配り
必要であれば医療機関への付き添いも行います。
4. 保護者との連携
ナニーは、保護者にとって最も信頼できる「育児のパートナー」です。
毎日の詳細なレポート(チャイルドケア日誌)を通じて
子どもの成長やその日の出来事を共有し
教育方針について密に話し合いながら二人三脚で子育てを進めていきます。
海外と日本の認知度、そして仕事の大変さ
海外と日本での認知度の違い
- 海外(特にイギリス): ナニーは国家資格こそないものの
専門の養成学校(英国の「ノーランド・カレッジ」が世界的に有名)が存在し
社会的地位が確立された尊敬される専門職です。
富裕層やアッパーミドル層の家庭では、ナニーを雇うことが一般的です。 - 日本: まだまだ認知度は低く、「高級なベビーシッター」という認識が一般的です。
しかし、共働き世帯の増加や教育熱心な家庭
外国人エグゼクティブ家庭などを中心に
専門性の高いナニーへの需要は着実に高まっています。
仕事の大変なこと
- 家庭に深く関わることの難しさ 他人の家庭に入り込み
その家族の一員に近い形で働くため、プライバシーの境界線や
家庭ごとの文化・価値観への適応が非常に難しい仕事です。
常にプロとしての距離感を保つバランス感覚が求められます。 - 保護者からの高い期待 高い報酬に見合うだけの
子どもの成長という「成果」を期待されます。
教育方針を巡って保護者と意見が対立することもあり
精神的なプレッシャーは大きいと言えます。 - 孤独感 保育園のように同僚がいるわけではなく
日中の保育は基本的に1人です。
悩みをすぐに相談できる相手がいない環境で
重い責任を一人で担う孤独感を感じることもあります。
気になる給料・年収事情
ナニーは、その高い専門性と責任から
ベビーシッターや保育士よりも高い報酬水準となります。
- 時給制の場合の目安:2,000円~3,500円以上 スキルや経験、契約内容(バイリンガル対応など)によっては、時給4,000円を超えることも珍しくありません。
- 月給・年収制の場合の目安 日本ではまだ一般的ではありませんが
家庭と直接契約を結ぶ場合
月給で30万円~50万円(年収400万円~700万円)がひとつの目安となります。
特に住み込みで働く場合や、高いスキルを持つトップクラスのナニーの場合
年収800万円~1,000万円以上で契約するケースもあります。
あなたは当てはまる?ナニーに向いている人
- 保育に関する専門知識とスキル
子どもの発達心理学、栄養学、安全管理など体系的な知識は必須です。
保育士や幼稚園教諭の資格があれば、大きな強みになります。 - 高いコミュニケーション能力
子どもの気持ちを汲み取る力はもちろん
保護者と対等なパートナーとして
教育方針を話し合える高度な対話力が求められます。 - 強い責任感と高い倫理観
子どもの人生に深く関わり、その家庭のプライバシーを知る立場として
絶対的な責任感と秘密を守れる倫理観が必要です。 - 柔軟性と忍耐強さ
家庭ごとのルールや文化に柔軟に対応し
子どもの成長を長期的な視点で見守れる忍耐強さが不可欠です。
ナニーは長期的に子供の成長に寄り添うプロ
ナニーは一時的なお世話係のベビーシッターとも
集団を育む保育士とも違う
一人の子どもの成長に深く、長く寄り添う、家庭内教育の最高のプロフェッショナルです。
日本においてはまだこれからの職業かもしれませんが
子育てへのニーズが多様化・高度化する中で
その存在価値はますます高まっていくでしょう。
もしあなたが育児に関する深い専門知識を武器に
ひとつの家庭、1人の子どもの人生と本気で向き合いたいと願うなら
ナニーという道は、他では得られない、深く
そして尊いやりがいに満ちたキャリアとなるはずです。
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