特殊清掃員の仕事とは?
年収・やりがいから
「キツい」と言われる理由まで徹底解説!
孤独死、自殺、殺人事件、ゴミ屋敷…。
目を背けたくなるような出来事の後には
必ずその痕跡を誰かが片付けなければならない現実があります。
その一般の清掃では到底対応できない壮絶な現場を専門的な知識と技術
そして何よりも強い精神力で原状回復させるプロフェッショナル
それが「特殊清掃員」です。
「キツい」「危険」
といったイメージが先行する一方で、高齢化や単身世帯の増加に伴い
その社会的需要は急速に高まっています。
この記事では、そんな特殊清掃員という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容から、気になる給料
そしてこの仕事でしか得られないやりがいと、
知っておくべき厳しい現実までその世界のすべてを詳しくお伝えします。
具体的な仕事内容は?
単なる「掃除」ではない
特殊清掃の仕事は、単に部屋をきれいにすることではありません。
故人の尊厳を守り、遺族の心を癒し
そして次の住人が安心して暮らせる状態にまで
空間を「再生」させることです。
1. 消毒・除菌・害虫駆除
現場には感染症を引き起こすウイルスや細菌が蔓延している可能性があります。
そのため、最初に専用の薬剤を噴霧し空間全体を徹底的に消毒・除菌します。
また、ご遺体から発生する体液や腐敗臭に引き寄せられた
ハエやウジといった害虫の駆除も行います。
作業員は自らの身を守るため防護服、防毒マスク
ゴーグルといった完全防備で臨みます。
2. 汚染物の除去
体液や血液が付着した布団や家具、畳などを慎重に梱包・搬出します。
床や壁にまで汚染が及んでいる場合は
表面的な清掃だけでは臭いが取れないため
壁紙や床材を解体・撤去する大掛かりな作業になることもあります。
3. 遺品整理
特殊清掃と同時に、遺品整理も行うことが多くあります。
故人の思い出の品々を、遺族の気持ちに寄り添いながら丁寧に仕分けし
貴重品や形見分けするものを探し出します。
4. 消臭・脱臭作業
全ての汚染物を撤去した後、現場には強烈な死臭が残っています。
オゾン脱臭機といった特殊な機材を使用し
臭いの分子を根本から分解・除去します。
臭気測定器で人間の嗅覚では感じられないレベルまで
臭いが消えたことを確認して、初めて作業は完了です。
必要な資格は?
未経験からでもなれるのか
A. 特殊清掃員になるために
法律で定められた必須の国家資格はありません。
学歴や経験も問われないため、未経験からでも挑戦することが可能です。
しかし人の生死に関わる極めて専門的な仕事であるため
誰にでもできるわけではありません。
【持っていると有利な資格・スキル】
• 普通自動車免許(AT限定可):
現場への移動や資機材の運搬、廃棄物の搬出のために、車の運転はほぼ必須となります。
• 遺品整理士:
遺品整理に関する専門知識を持つ証明となり、お客様からの信頼に繋がります。
• 各種リフォーム関連資格:
床材の解体や内装の修復まで行うことがあるため
内装仕上げ施工技能士などの資格も役立ちます。
何よりも入社後に現場で経験を積み、専門的な知識と技術
そして強靭な精神力を身につけていくことが、プロへの唯一の道です。
気になる給料・年収事情
その過酷な仕事内容から高収入をイメージする方もいるかもしれませんが
必ずしもそうとは限りません。
• 全体の平均年収:約300万円~400万円
(正社員の場合)
• 月給の目安:20万円~30万円
日本の平均年収と同等か、やや低い水準です。
ただし会社によっては特殊な現場に出動した際の
「特殊作業手当」が支給されることもあります。
この仕事を選ぶ人は、収入の多さよりも
後述する「やりがい」に重きを置いているケースが多いのが実情です。
仕事のやりがいと大変なこと・危険性
• やりがい
• 究極の社会貢献性:
「誰もがやりたがらない。しかし誰かがやらなければならない」。
この仕事は困り果てた遺族や大家さんにとって最後の希望の光です。
絶望的な状況を解決し深く感謝された時の達成感は
他の何物にも代えがたいものです。
• 故人の尊厳を守り、遺族の心を癒すこと:
ただ清掃するだけでなく故人が生きた証を丁寧に扱い
遺族の心のケアに繋がる働きができる非常に尊い仕事です。
• 「再生」を目の当たりにできる達成感:
凄惨だった現場が自分の手で再び人が住める状態にまで再生していくプロセスを
目の当たりにできるのは、大きな喜びです。
• 大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 精神的な負担:
人の死の痕跡、腐敗臭、大量の害虫といった
凄惨な現場に何度も立ち会うことによる
精神的なストレス(PTSDなど)は、この仕事の最大の壁です。
• 肉体的な負担:
夏場は、蒸し風呂のような室内で
汗だくになりながら防護服を着て作業します。
また、重い家具の搬出や解体作業など、非常に過酷な肉体労働です。
• 感染症のリスク:
現場には、血液などを介して感染する病原体が存在する可能性があります。
防護服の正しい着用や、作業手順の遵守など、徹底した安全管理が不可欠です。
• 近隣への配慮:
臭いや作業音などで、近隣住民に不快感を与えないよう
細心の注意を払う必要があります。
あなたはどっち?
特殊清掃員に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、強靭な精神力と体力を持つ人
• 「誰かの役に立ちたい」という、強い使命感と奉仕の精神を持つ人
• 人の死や人生に、真摯に向き合える誠実さを持つ人
• 冷静沈着で、どんな状況でも黙々と作業に集中できる人
• 社会の裏側を支える仕事に、誇りを持てる人
【向いていない人の特徴】
• 精神的に繊細な人、感受性が強すぎる人
• 潔癖症の人、臭いや虫が極端に苦手な人
• 体力に自信がない人
• 高い給料だけを求めている人
• 人の死を「穢れ」として捉えてしまう人
空間を「再生」させるプロフェッショナル
特殊清掃員の仕事は、決して誰もが足を踏み入れられる世界ではありません。
それは、人の「死」という最も重い現実に、最も深く、
そして直接的に向き合う仕事だからです。
その道は、過酷で、精神的にも厳しい場面の連続です。
しかし、その先には、絶望の淵にいる人を救い
故人の最後の尊厳を守るという、何物にも代えがたい
揺るぎない誇りが待っています。
もしあなたが並外れた精神力と社会の影を照らしたい
という温かい心を持っているなら
特殊清掃員という仕事は、あなたの人生を懸けるに値する
最も尊いキャリアとなるでしょう。
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