刑務官の仕事とは?
年収・やりがいから「キツい」
と言われる理由まで徹底解説!
社会の秩序と安全を守る、司法の最終ライン。
高い壁の内側で、受刑者の監督と社会復帰支援という
極めて重い責任を担うプロフェッショナルが「刑務官」です。
その仕事は、謎に包まれている部分も多く
「厳しく、危険な仕事」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、その裏側には、社会の安全を根底から支えるという強い使命感と
人の「更生」という崇高な目標が存在します。
この記事では、そんな刑務官という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
「監督」と「支援」の二つの顔
刑務官の仕事は、法務省に所属する国家公務員です。
その任務は刑務所や拘置所といった刑事施設で
被収容者(受刑者など)の監督と彼らが更生し
円滑に社会復帰できるよう指導・支援することです。
その仕事は、大きく分けて2つの側面に分かれています。
1. 保安と規律を維持する「警備」の仕事
施設の安全と秩序を守る、最も基本的な任務です。
• 監視・巡回
施設内を巡回し、受刑者同士のトラブルや逃走、自殺といった不測の事態が起きないよう、常に監視します。
• 検査業務
居室や身体の検査を行い、武器などの危険物や不正な物品が隠されていないかをチェックします。
• 秩序の維持
受刑者が施設のルールに従って、規則正しい生活を送るよう指導します。
2. 社会復帰を支える「教育・指導」の仕事
受刑者が、再び罪を犯すことなく社会の一員として復帰できるよう
様々な指導を行います。
• 刑務作業の指導
木工や印刷、金属加工といった刑務作業の現場で
技術指導や安全管理を行います。
• 改善指導・生活指導
薬物依存や暴力から脱するための専門的なプログラムを実施したり
社会生活に必要なルールやマナーを教えたりします。
• 分類・処遇業務
受刑者ひとりひとりと面談し、その特性や問題点を見極め
最適な更生プログラムを計画します。
刑務官になるには?必要な資格は?
A. 受験前に必須となる特別な資格は、特にありません。
刑務官になるためには、国家公務員試験の一種である
「刑務官採用試験」に合格する必要があります。
【刑務官になるまでの基本的なルート】
1. 刑務官採用試験を受験
高卒程度の学力があれば、性別や年齢(一定の制限あり)を問わず受験できます。
試験内容は主に以下の通りです。
• 一次試験
基礎能力試験(筆記)、作文試験
• 二次試験
面接試験、身体検査、体力検査
※柔道や剣道の有段者は、評価で有利になることがあります。
2. 採用後、研修施設へ入所
採用試験に合格すると、全寮制の研修施設で
法律知識や武道(柔道・剣道)、逮捕術、拳銃の扱い方など
刑務官として必要な基礎を学びます。
3. 刑事施設へ配属
研修を終えて初めて、一人前の刑務官として
全国の刑務所や拘置所へ配属され、キャリアがスタートします。
気になる給料・年収事情
Q. どのくらい稼げるの?
A. 刑務官は国家公務員であるため
給与は法律で定められており
安定した高い水準の収入が保障されています。
(※有名になっても、自分で値段を決めて収入が上がるような仕事ではありません。)
刑務官の給与は、一般の国家公務員よりも高い「公安職俸給表」が適用されます。
• 全体の平均年収:約550万円~650万円
年齢や階級に応じて、着実に昇給していきます。
• 初任給(高卒の場合):月額 約21万円~
これに加えて、夜勤や危険な業務に対する
特殊勤務手当などが支給されるため実際の収入はさらに高くなります。
また、公務員であるため福利厚生も非常に手厚く安定した生涯設計が可能です。
仕事のやりがいと大変なこと・危険性
• やりがい
• 社会の安全を守るという、強い使命感
犯罪者を社会から隔離し、秩序を守る。自分の仕事が
国民の安全な暮らしに直接貢献しているという何物にも代えがたい誇り。
• 人の「更生」に立ち会えること
反省の念がなかった受刑者が、指導を通じて心を開き
更生への意欲を見せた瞬間。
それはこの仕事でしか味わえない深く、そして静かな感動です。
• 国家公務員としての安定性
景気に左右されず、社会に必要とされ続ける
非常に安定したキャリアを築けます。
• 大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 常に緊張感が伴う、精神的なプレッシャー
受刑者からの暴言や、いつ暴動が起きるかもしれないという
常に張り詰めた緊張感の中で仕事をしなければなりません。
• 受刑者との人間関係
反省の色が見えない受刑者や、巧みに人を操ろうとする受刑者と
日々向き合う精神的な消耗は計り知れません。
• 不規則な勤務体系
24時間体制で施設を監視するため、夜勤や泊まり勤務は避けられません。
• 生命の危険
受刑者からの暴力行為など、常に生命の危険と隣り合わせの仕事です。
あなたはどっち?
刑務官に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、強靭な精神力と体力を持つ人
• 不正を許さない、強い正義感と使命感を持つ人
• 冷静沈着で、どんな状況でも動じない胆力がある人
• 人間観察が鋭く、人の嘘を見抜く洞察力がある人
• 規律を守り、組織の一員として行動できる人
【向いていない人の特徴】
• 情に流されやすい、お人好しな人
• プレッシャーに弱く、精神的に繊細な人
• 閉鎖的な環境や、厳しい上下関係が苦手な人
• 安定したカレンダー通りの休日を望む人
• 人と深く関わるのが苦手な人
社会復帰支援のプロフェッショナル
刑務官は、社会から隔絶された壁の内側で
国民の安全を守り罪を犯した人間の再生を支える、極めて重い責任を担う仕事です。
その道は常に危険と隣り合わせで、精神的にも肉体的にも過酷を極めます。
しかし、その先には社会の秩序を根底から支えているという
揺るぎない誇りと人の更生という
かすかな光を信じ続けるという尊い使命があります。
もしあなたが並外れたタフさと、社会を守るという不動の意志を持っているなら
刑務官という道は、あなたの人生を懸けるに値する
最も挑戦しがいのあるキャリアとなるでしょう。
他の仕事も見てみる→Check

