ヘビ毒採取員の仕事とは?
年収・なり方から「世界で最も危険な仕事」
のリアルまで徹底解説!
一瞬の油断が、死に直結する。
世界で最も危険な生物のひとつである「毒ヘビ」と
文字通り素手で向き合いその牙から猛毒を採取するプロフェッショナル
それが「ヘビ毒採取員(スネーク・ミルカー)」です。
その仕事は、映画やドキュメンタリーでしか
見ることのできないまさに異世界。
しかし、彼らが採取するヘビ毒は血清や
新薬の開発に不可欠であり間接的に数多くの人々の命を救っています。
この記事では、そんな「世界で最も危険な仕事」とも言われる
ヘビ毒採取員の謎に包まれたリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
一滴の毒のために
ヘビ毒採取員の仕事は、単に毒を採取するだけではありません。
危険な毒ヘビを生かし最高の状態で毒を採取するための
総合的な専門知識と技術が求められます。
1. 毒の採取(ミルキング)
これが最も中核となる、最も危険な仕事です。
• ヘビの捕獲・固定
専用のフックやトングを使い、ヘビを傷つけないよう
しかし確実に動きをコントロールしながら捕獲。
頭部を慎重に、そして力強く固定します。
• 牙の露出と採毒
ビーカーやシャーレなどにラップフィルムを張った容器を
ヘビの口元に持っていき、噛みつかせます。
牙がフィルムを突き破り毒腺から毒が滴り落ちるのを採取します
(この動きが、乳搾り=ミルキングの語源です)。
この間、ヘビが暴れて牙が外れたり
自分の手に牙が刺さったりすれば即座に命の危険に晒されます。
2. 毒ヘビの飼育管理
最高の状態の毒を、継続的に採取するためには
毒ヘビそのものが健康でなければなりません。
• 飼育環境の整備
ヘビの種類ごとに、最適な温度・湿度を保った飼育ケージを管理します。
• 給餌・清掃
定期的にエサを与えケージ内を清潔に保ちます。
この日常的な世話の時間も常に咬まれる危険と隣り合わせです。
3. 研究・データ管理
採取した毒は、ただ集めるだけではありません。
• 毒の処理・記録
採取した毒を、研究機関や製薬会社で
使えるように処理(凍結乾燥など)し
「どのヘビから」「いつ」「どれだけの量」を採取したか
詳細なデータを記録します。
ヘビ毒採取員になるには?
必要な資格は?
A. ヘビ毒採取員になるための
国が定めた特定の資格や免許は存在しません。
しかし、その仕事の極めて高い危険性と専門性から
誰でもなれるわけでは決してありません。
専門の研究機関や血清を製造する施設などで専門家として働くのが一般的です。
【事実上、必須となる知識・スキル】
• 生物学・動物学の専門知識
大学の理学部や農学部などで、爬虫類学、動物行動学、毒物学といった
専門分野を学んだ経験がほぼ必須のスタートラインとなります。
• 毒ヘビの取り扱いに関する、圧倒的な経験
専門施設で熟練の専門家のもと何年にもわたる見習い期間を経て
初めて一人前として認められます。
知識だけでは決して務まらない、経験とセンスが全ての世界です。
• 冷静沈着な判断力と、強靭な精神力
日本では、群馬県にある「ジャパン・スネークセンター」が
ヘビの研究機関として世界的に有名でありこうした専門施設で
研究員として働くことがヘビ毒採取員への最も現実的な道と言えるでしょう。
気になる給料・年収事情
その極めて高い危険性から高収入をイメージするかもしれませんが
多くのヘビ毒採取員は研究者や技術者であり
その給与は所属する機関の給与規定に基づきます。
• 全体の平均年収:約400万円~600万円
日本の平均年収と同等かやや高い水準です。
命を懸ける仕事としては決して高いとは言えないかもしれません。
この仕事を選ぶ人は収入の多さよりも後述する「やりがい」に
他の何にも代えがたい価値を見出しているのです。
仕事のやりがいと大変なこと・危険性
やりがい
人々の命を救う、医学への貢献
自分が採取した毒から作られた血清がヘビに咬まれた誰かの命を救う。
新薬の開発に繋がりこれまで治らなかった病気の治療に貢献できる。
これこそがこの仕事の最大のやりがいです。
知的好奇心を満たす、未知への探求
ヘビ毒には、まだ解明されていない成分が無数に含まれています。
その神秘を解き明かす研究は、科学者としての知的な探求心を大いに満たしてくれます。
唯一無二の専門スキル
世界でも、ごく一握りの人間しか持たない
高度な技術と知識を身につけているという誇り。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
常に死と隣り合わせであること
これが、この仕事のすべてと言っても過言ではありません。
防護具を身につけていても、一瞬のミス・一瞬の油断が
即座に「死」に繋がります。
精神的なプレッシャー
猛毒を持つ生物と、毎日向き合い続ける精神的な消耗は計り知れません。
肉体的な負担
暴れるヘビを力強く抑え込むための体力や
常に高い集中力を維持するための持久力が求められます。
社会的な理解の得にくさ
その仕事の重要性が、一般にはなかなか理解されにくい側面もあります。
あなたはどっち?
ヘビ毒採取員に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、冷静沈着で、極度のプレッシャーの中でも動じない人
• 知的好奇心が旺盛で、生物学や化学への深い探求心がある人
• 観察力に優れ、些細な変化も見逃さない、注意力を持つ人
• 強い責任感と、科学の発展に貢献したいという高い志を持つ人
• 動物(特に爬虫類)への愛情と
科学的な対象としての客観性を両立できる人
【向いていない人の特徴】
• プレッシャーに弱い、パニックになりやすい人
• 大雑把な性格で、注意力散漫な人
• 高い収入や、安定した安全な環境を最優先したい人
• ヘビや爬虫類が、生理的に苦手な人
• 単純に「スリルが好き」というだけの人
(危険を軽視する人は最も向いていない)
「世界で最も危険な仕事」のひとつ
ヘビ毒採取員は、単なる「危険な仕事」ではありません。
それは、自らの命を懸けて人類の医学の進歩に貢献するという
極めて崇高な使命を担う科学者であり技術者です。
その道は、想像を絶するほどの危険と日々向き合うプレッシャーに満ちています。
しかし、その先には自分の採取した「毒」が
誰かの命を救う「薬」に変わるという
何物にも代えがたい、揺るぎない誇りが待っています。
もしあなたが並外れた冷静さと、科学への尽きない情熱
そして人類貢献への強い意志を持っているなら
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