林業の仕事とは?
年収・なり方から「キツい」
と言われる理由まで徹底解説!
私たちの生活に欠かせない、木材という資源。
その源である森林を、「植え、育て、伐採し、また植える」という
壮大なサイクルで未来へ繋ぐプロフェッショナル、それが「林業」の仕事です。
「自然の中で、体を動かす仕事がしたい」
そんな想いを抱く人にとって
非常に魅力的な選択肢のひとつです。
しかし、その牧歌的なイメージの裏には過酷な自然環境との戦いや
常に危険と隣り合わせの厳しい現実が存在します。
この記事では、そんな林業という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
木を伐るだけではない!
林業の仕事は、単に「木を伐採する」だけではありません。
50年、100年先を見据えて豊かな森林を育て、守ることが、その本質です。
仕事は、森林のライフサイクルに合わせて多岐にわたります。
• 地ごしらえ・植え付け
木を伐採した後、苗木を植えるために、地面をきれいに整地し
スギやヒノキなどの苗木を、一本一本手作業で植えていきます。
• 育林(下刈り・枝打ち・間伐)
植えた苗木がまっすぐ、太く、価値のある木材に育つように
手入れを続けます。
• 下刈り
苗木の成長を妨げる雑草を
刈払機で刈り取ります。
• 枝打ち
節のない、質の良い木材にするため
不要な枝をノコギリで切り落とします。
• 間伐
木が密集してくると、お互いの成長を妨げ森が暗くなってしまいます。
一部の木を伐採し、森に光を入れることで
残った木の成長を促す、非常に重要な作業です。
• 主伐・搬出
数十年かけて育て上げた木を、いよいよ収穫します。
チェーンソーを使って木を伐採し
高性能林業機械(ハーベスタ フォワーダなどを)駆使して、丸太を山から運び出します。
林業で働くには?
必要な資格は?
A. 未経験からでも挑戦可能です。
ただし、安全に作業を行うため
複数の資格が必要となります。
林業への就職に、学歴や特定の職歴は問われません。
しかし、チェーンソーや刈払機といった機械を扱うため
法律で定められた「特別教育」や「技能講習」を修了する必要があります。
【主な必要資格・講習】
• 伐木等の業務(チェーンソー)に係る特別教育
• 刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育
• 玉掛け技能講習(伐採した木をクレーンで吊るす際に必要)
• 車両系建設機械運転技能講習(林道を作る際などに必要)
【未経験でも安心な理由】
多くの森林組合や林業会社では「緑の雇用」
といった国の支援制度を活用し
入社後に会社負担でこれらの資格を取得させてくれます。
そのため未経験からでも安心してプロを目指せる環境が整っています。
気になる給料・年収事情
林業の収入は、全産業の平均と比較すると
必ずしも高い水準とは言えないのが現状です。
• 全体の平均年収:約300万円~360万円
(林野庁のデータより)
• 初任給の目安:月給 約19万円~
ただし、これはあくまで平均です。
天候によって仕事が休みになると日給が支払われない
「日給月給制」の会社もあれば
安定した「月給制」の会社もあります。
経験を積み、現場のリーダーである「フォレストリーダー」や
「フォレストマネージャー」といった役職に就いたり
高性能林業機械のオペレーターとして
高い技術を身につけたりすることで、収入を上げていくことが可能です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
• やりがい
• 自然の中で働き、森を育てる達成感
自分が植えた苗木が、数十年後に立派な木に育つ。
暗かった森が間伐によって明るく、健康になっていく。
その壮大なスケールと、自然を相手にする達成感は、何物にも代えがたいものです。
• 社会貢献性の高さ
木材という再生可能資源を供給するだけでなく、
森林を適切に管理することで土砂災害を防いだり
地球温暖化を防止したりと、社会や地球環境に直接貢献しているという誇り。
• 専門スキルが身につく
チェーンソーや高性能林業機械の操作といった
他では得られない専門的な技術を
自分の「腕」として身につけることができます。
• 大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 体力的な負担
急斜面の上り下りや、重い機材の運搬など
非常に過酷な肉体労働です。
夏の暑さ、冬の寒さも厳しく、強靭な体力は必須です。
• 天候に左右される
雨や雪、強風の日は、安全のために仕事が休みになることがあります。
収入が不安定になるリスクもあります。
• 常に危険と隣り合わせ
チェーンソーでの作業や、木の伐採は
一瞬の気の緩みが大怪我や死亡事故に繋がります。
また、スズメバチやマムシ、熊といった
危険な野生動物との遭遇も日常茶飯事です。
あなたはどっち?
林業に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、自然や森が好きな人
• 体力に自信があり、体を動かすことが好きな人
• 社会貢献への関心が高い人
• 機械の操作や、道具の手入れが好きな人
• 慎重で、周囲に気を配れる人(安全管理のため)
【向いていない人の特徴】
• 体力に自信がない人
• 虫や、野生動物が極端に苦手な人
• 安定したカレンダー通りの休日を望む人
• 大雑把で、危険予知が苦手な人
• デスクワークをしたい人
豊かな森林を育て、未来へ繋ぐ
林業は、単なる「木こり」の仕事ではありません。
それは、私たちの祖先が未来のために植えた木を収穫し
そしてまた、私たち自身が数十年後の未来のために
新たな木を植え、育てるという世代を超えた壮大なバトンリレーです。
その道は、決して楽なものではなく
常に危険と隣り合わせの厳しい世界です。
しかし、それを乗り越えた先には大自然の中で
社会と地球の未来に貢献しているという
何物にも代えがたい揺るぎない誇りが待っています。
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