和菓子職人の仕事とは?
年収・なり方から
厳しい修行のリアルまで徹底解説!
桜、あじさい、紅葉、雪景色…。
手のひらの上で日本の美しい四季と繊細な心を表現する
食べられる芸術品「和菓子」。
その伝統の技と美意識を未来へと繋ぐプロフェッショナルが「和菓子職人」です。
「ものづくりが好き」
「日本の伝統文化に携わりたい」
そんな想いを抱く人にとって、非常に魅力的な仕事です。
しかし、その優美な世界の裏には
早朝からの厳しい修行と、一切の妥協を許さない職人
としての孤高の道が存在します。
この記事では、そんな和菓子職人という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
五感で季節を紡ぐ
和菓子職人の仕事は単に「甘いものを作る」ことではありません。
その日の天候や湿度を感じ取り最高の素材と向き合い
五感を研ぎ澄ませて季節そのものを形にすることです。
一日は、多くの人がまだ深い眠りについている早朝から始まります。
• 餡(あん)作り
「餡炊き3年」と言われるほど、和菓子の命であり
最も基本にして最も奥深い仕事です。
小豆の種類を見極め、豆の状態に合わせて炊き方や砂糖の量を微調整し
店の「顔」となる餡を練り上げます。
• 生地作り
餅、求肥(ぎゅうひ)、ういろう、練り切り、どら焼きの皮など
作る和菓子に合わせて、多種多様な生地を仕込みます。
• 成形・仕上げ
職人の腕が最も光る工程です。
木型やヘラ、そして自らの指先だけを使い
花や鳥といった自然の風物を息をのむほど繊細に表現していきます。
• 新商品の開発
伝統的な和菓子を守り継ぐだけでなく
現代の感覚に合わせた新しい素材の組み合わせや
デザインの和菓子を考案する創造性も求められます。
• 包装・販売
心を込めて作った和菓子を美しく包装し
時には自ら店頭に立って、お客様にその魅力や
背景を伝えることも大切な仕事です。
和菓子職人になるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の資格はありません。
しかし、プロとしての信頼と技術の証明になる
重要な国家資格が存在します。
学歴や経験を問わず未経験からでも和菓子店に就職し
見習いとしてキャリアをスタートさせることが可能です。
しかし、多くの人が専門学校で基礎を学んだり以下の資格取得を目指したりします。
【持っていると有利な国家資格】
• 製菓衛生師
食品衛生や栄養学に関する正しい知識を持つ専門家であることの証明です。
独立開業する際に「食品衛生責任者」の資格を無試験で取得できるなど
大きなメリットがあります。
• 菓子製造技能士(和菓子)
和菓子作りの技術レベルを国が証明する資格で1級と2級があります。
自分の技術力を客観的に示すことができ
就職や転職の際に高く評価されます。
【一般的なキャリアパス】
1. 製菓の専門学校で基礎を学ぶ。
2. 和菓子店に就職し「見習い」として
掃除や洗い物といった下積みからスタート。
3. 数年かけて、餡作り、生地作り、成形と
少しずつ仕事を覚えていく。
4. 一人前の職人として認められた後
独立開業を目指す人も多い。
気になる給料・年収事情
和菓子職人の収入は、その店の規模や本人の技術レベル
そして独立しているかどうかによって大きく異なります。
• 見習い・下積み期間:年収250万円~350万円
まずは技術を学ぶことが最優先の時期です。
• 中堅クラス:年収350万円~500万円
一人前に仕事を任され店の主力として活躍するようになると
収入も安定してきます。
• 独立開業:年収600万円~1,000万円以上も
自分のお店を持ち、地域の人々に愛される人気店となれば
会社員時代を大きく上回る収入を得ることも夢ではありません。
ただし、経営者としての手腕が問われる厳しい世界です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
• やりがい
• 日本の美しい伝統文化を、自らの手で継承する誇り
何百年と受け継がれてきた技術と精神を
次の世代へと繋いでいくという非常に社会的意義の大きな仕事です。
• 「美味しい」「きれい」という、お客様の笑顔
心を込めて作った和菓子で、お茶の時間を豊かにし
人々の記念日を彩ることができる。
その喜びは、何物にも代えがたいものです。
• ゼロから「芸術」を生み出す創造性
自分の感性と技術で豆や米が
息をのむほど美しい芸術品に変わっていく。
その達成感は、ものづくりの醍醐味です。
• 大変なこと・厳しいこと
• 早朝からの過酷な肉体労働
日の出前の出勤は当たり前。
一日中立ち仕事で重い餡を練ったり
熱い蒸し器の前で作業したりと強靭な体力が必要です。
• 長い下積みと、厳しい上下関係
昔ながらの職人気質の世界では、「見て盗め」が基本。
一人前になるまでには、何年にもわたる地道な努力と忍耐が求められます。
• 常に伴う怪我の危険
熱い餡や蒸気による火傷、包丁などの刃物による切り傷など
常に怪我のリスクと隣り合わせです。
あなたはどっち?
和菓子職人に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、ものづくりが好きで、手先が器用な人
• 日本の伝統や文化に、深い敬意と関心を持つ人
• 探求心が強く、地道な努力をコツコツと続けられる人
• 体力に自信があり、早起きが苦にならない人
• 人を喜ばせるのが好きな、おもてなしの心を持つ人
【向いていない人の特徴】
• 体力に自信がない人、朝が極端に苦手な人
• 単調な作業や、地道な努力が嫌いな人
• 大雑把な性格で、細かい作業が苦手な人
• 厳しい上下関係や、体育会系の文化が苦手な人
• 安定したカレンダー通りの休日を望む人
伝統の技と美意識を未来へと繋ぐプロ
和菓子職人は、単なる「お菓子屋さん」ではありません。
それは日本の美しい四季と人々の心を小さな菓子の中に表現する
伝統文化の継承者であり芸術家です。
その道は、決して楽なものではなく、長い下積みと、厳しい自己研鑽が求められます。しかし、それを乗り越えた先には、自らの手で人々を笑顔にし、日本の美を未来へと繋いでいくという、何物にも代えがたい、揺るぎない誇りが待っています
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