通訳者の仕事とは?
年収・なり方から厳しい現実まで徹底解説!
国際会議や、海外要人へのインタビュー。
異なる言語を話す人々の間で、まるで言葉の壁が存在しないかのように
スムーズなコミュニケーションを成立させるプロフェッショナル
それが「通訳者」です。
その知性的で華やかな姿は、多くの人が憧れる職業のひとつです。
しかし、その完璧に見えるパフォーマンスの裏には
一瞬のミスも許されない極度の緊張感と膨大な事前準備
という、ストイックで厳しい現実が存在します。
この記事では、そんな通訳者という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
3つの通訳方式でコミュニケーションを繋ぐ
通訳者の仕事は、単に「言葉を置き換える」ことではありません。
話者の意図や感情、文化的背景までを深く理解し
聞き手に最も正確に伝わる言葉で再構築することです。
その手法は、主に3つの方式に分かれています。
• 同時通訳
国際会議などで話者が話すのと「ほぼ同時」に通訳を行います。
専用のブースに入り、ヘッドフォンから聞こえる音声を
0.5秒ほどの遅れで訳し続けます。
極度の集中力を要するため15分程度で交代しながら行うのが一般的です。
• 逐次(ちくじ)通訳
話者が ある程度の長さ(数分)を話した後に一旦区切り
その内容を通訳者がまとめて訳す方式です。
商談や記者会見、表敬訪問などで用いられます。
話の内容を正確に記憶し、論理的に再構成する能力が求められます。
• ウィスパリング通訳
少人数の会議などで、通訳を必要とする人のすぐ隣に座り
ささやく(whisper)ような小さな声でほぼ同時に通訳を行う方式です。
これらの技術を駆使し 会議、商談、放送、法廷、医療、地域コミュニティなど
あらゆる国際交流の場面で活躍します。
通訳者になるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格はありません。
しかし、プロとして活動するためには
最高レベルの語学力と専門性が不可欠です。
通訳者への道は、決まったルートがあるわけではありませんが
一般的には以下のステップを踏みます。
1. 大学・大学院で言語能力を磨く
外国語大学や、海外の大学で、ネイティブレベルの語学力と、異文化への深い理解を養います。
2. 通訳養成スクールで専門技術を学ぶ
高い語学力があるだけでは、通訳はできません。前述した通訳方式の専門的なトレーニングを、プロの指導のもとで何年もかけて学びます。
3. 実績を積む
通訳エージェントに登録し、短い会議や簡単なアテンド通訳といった仕事から、少しずつ経験と信頼を積み重ねていきます。
【スキルの証明となる資格】
• 通訳案内士(国家資格)
報酬を得て、外国人観光客に通訳ガイドを行うために必須の資格。
• TOBIS(ビジネス通訳検定)
ビジネスシーンにおける通訳スキルを客観的に証明できます。
• その他、各種語学検定(TOEIC、TOEFL、HSKなど)
高いスコアは、語学力の基礎証明となります。
気になる給料・年収事情
通訳者の収入は、働き方(社員かフリーランスか)や
扱う言語、専門分野によって大きく異なります。
• 社内通訳:年収500万円~800万円
企業に所属し、安定した給与を得られますが、収入の上限は比較的低めです。
• フリーランス通訳者:年収400万円~1,500万円以上
実力と営業力次第で、収入はまさにピンからキリまで。
トップクラスの会議通訳者になれば
1日で数十万円を稼ぐことも可能で、年収2,000万円を超える人もいます。
Q. 需要のある言語は?収入は変わる?
A. 現在、最も需要が高いのは
圧倒的に「英語(特に日英)」です。
次いで、ビジネスシーンでは中国語の需要も非常に高くなっています。
扱う言語によって、収入は変動します。
アラビア語やロシア語といった、話者人口が少ない希少言語の通訳者は
案件数は少ないものの、専門性が高いため
1案件あたりの単価は非常に高くなる傾向にあります。
しかし、最も収入を左右するのは、言語の種類以上に「専門分野」です。
金融、IT、医療、法律といった特定の専門知識を持つ通訳者は
常に高い需要があり、高収入を得ることが可能です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
• やりがい
• 人と人、国と国を繋ぐ「架け橋」になれること
自分の言葉を通じて、全く言葉の通じなかった人々が理解し合い
新しいビジネスや文化交流が生まれる。
その瞬間に立ち会えることは、何物にも代えがたい喜びです。
• 歴史的な瞬間に立ち会える可能性
国際的な首脳会談や新技術の発表会など、
世界の歴史が動く瞬間に最も近い場所で関われることがあります。
• 尽きることのない知的好奇心
あらゆる分野の最先端の知識に触れる機会があり
常に学び続けることができる知的な興奮に満ちた仕事です。
• 大変なこと・厳しいこと
• 常に完璧を求められる、計り知れないプレッシャー
自分の訳一つで、数億円のビジネスが破談になったり
国際問題に発展したりする可能性もあります。
一瞬のミスも許されない緊張感は、計り知れません。
• 膨大な事前準備
通訳の仕事の8割は「準備」と言われます。
会議のテーマに関する専門用語や、登壇者の経歴、過去の発言などを
何十、何百ページもの資料を読み込んで、徹底的に頭に叩き込みます。
• 精神的・肉体的な消耗
極度の集中力を長時間維持するため
1回の通訳で体重が数キロ落ちることもあるほど、心身ともに消耗します。
あなたはどっち?
通訳者に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、言語と異文化への尽きない好奇心を持つ人
• 知的好奇心が旺盛で、地道な勉強を続けられる人
• 精神的にタフで、極度のプレッシャーを楽しめる人
• 聞き上手で、話の要点を瞬時に掴むのが得意な人
• 「黒子」に徹することができる、高い倫理観と責任感を持つ人
【向いていない人の特徴】
• 自分が目立ちたい、自分の意見を言いたい人
• 地道な下調べや、コツコツとした勉強が苦手な人
• プレッシャーに弱く、あがり症の人
• 完璧主義すぎる人(ある程度のところで切り替える力も必要)
• 安定した決まった仕事だけをしたい人
知性的で華やかな姿は、多くの人が憧れる職業
通訳者は、単なる「バイリンガル」や「言語変換機」ではありません。
それは、言葉の背景にある文化やニュアンスを深く理解し
人と人の心を繋ぐ、高度な技術を持った
「異文化コミュニケーションのプロフェッショナル」です。
その道は、決して楽なものではなく
常に自己研鑽を求められる厳しい世界です。
しかし、それを乗り越えた先には自分の言葉で世界を繋ぐという
何物にも代えがたい、揺るぎない誇りが待っています。
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