俳優の仕事とは?
年収・なり方から「9割が食べていけない」
厳しい現実まで徹底解説!
観る者の心を揺さぶり、笑わせ、泣かせ
時には人生観さえも変えてしまう。
自分とは全く異なる「誰か」の人生を生き
物語に命を吹き込む感情表現のプロフェッショナル
それが「俳優(役者)」です。
スポットライトを浴び、多くの人々から喝采を浴びる華やかな世界。
しかし、その輝かしい舞台の裏には選ばれた者だけが立てる
計り知れないほどの努力と、才能
そして「運」が渦巻く、厳しい競争社会が存在します。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「俳優」という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
俳優になるには?
必要な資格は?
A. 俳優になるために
法律で定められた必須の国家資格や学歴は
一切ありません。
極端に言えば「今日から私は俳優です」と名乗れば
誰でもなることができます。
しかし、それは「プロとしてお金をもらう」こととは全く別次元の話です。
【プロになるための一般的なルート】
1. 芸能事務所のオーディションに合格する
これが最も王道のルートです。事務所に所属することで
仕事のブッキングや、レッスン、プロモーション
といったサポートを受けることができます。
2. 劇団に所属する
特に舞台俳優を目指す場合、劇団のオーディションを受け
所属劇団員として日々の稽古と公演を積み重ねて
キャリアを築いていきます。
3. 養成所・専門学校で学ぶ
事務所や劇団が運営する養成所で基礎を学び
優秀者が所属に昇格するケースもあります。
4. スカウトされる
街中やSNSなどでスカウトされることもありますが
これは極めて稀なケースです。
いずれにせよ、キャリアのスタートは
ほぼ「オーディションに合格すること」から始まります。
具体的な仕事内容は?
「演じる」だけではない!
俳優の仕事は、私たちが目にする「本番」に至るまでの
地道な「準備」がその大半を占めます。
• 1. 役作り・台本読解(準備)
俳優の仕事は、台本を受け取った瞬間から始まります。
• 台本の読み込み
物語全体を理解し、自分の役が持つ役割、感情の流れを深く分析します。
• 台詞(せりふ)覚え
膨大な量の台詞を、一言一句完璧に暗記します。
• 役作り
演じる人物の背景を研究し、時には大幅な増量や減量
専門技術(乗馬、楽器、方言など)の習得まで行い
その人物の「魂」を自分に憑依させます。
• 2. 稽古(けいこ)・リハーサル
特に舞台演劇の場合、本番の数ヶ月前から
演出家や共演者と共に何度も何度も繰り返し稽古を行います。
• 3. 撮影・本番(実行)
監督の指示のもと、カメラの前や観客の前で
準備してきた全てを出し切り「役として」その瞬間を生きます。
• 4. オーディションと宣伝活動(営業)
これが、俳優にとって最も重要で、最も過酷な仕事かもしれません。
• オーディション
次の仕事を得るために、常にオーディションを受け続けます。
• 宣伝活動
出演した作品をヒットさせるため、雑誌のインタビューや
テレビのバラエティ番組に出演するのも、重要な仕事の一部です。
気になる給料・年収事情
「俳優の9割は、それだけでは食べていけない」
これは、この業界でよく聞かれる厳しい現実です。
収入は完全な「実力・人気・実績主義」であり
ピンからキリまで、天と地ほどの差があります。
•収入源
• 映画、ドラマ、CMなどの「出演料(ギャラ)」
• 舞台の「ステージギャラ」
• DVD化などの「二次利用料(印税)」
【収入の目安】
• 新人・無名俳優:年収 ほぼゼロ ~ 100万円
収入源はオーディションで勝ち取ったエキストラや小さな役が中心。
ほとんどの人がアルバイトをしなければ生活が成り立たない
最も厳しい下積み時代です。
• 中堅俳優:年収300万円~1,000万円
ドラマや映画で、コンスタントに役(脇役など)がもらえるようになると
ようやく「俳優業」だけで生活できるようになります。
• トップスター:年収 数千万円~数億円
主演クラスになると、ドラマ1本のギャラが数百万円
CM1本の契約料が数千万円となり収入は青天井です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
何物にも代えがたい「感動」
• 「自分ではない誰か」になれる喜び
平凡な日常では決して体験できない
全く別の人生を役を通じて生きることができる。
これこそが、俳優という仕事の最大の醍醐味です。
• 人の心を動かせたという実感
自分の演技で、観客が笑ったり、泣いたり、感動したりする。
その反応をダイレクトに感じられた時
(特に舞台)の喜びは、計り知れません。
• チームで「作品」を創り上げる達成感
監督、脚本家、共演者、そして多くの裏方スタッフ。
全員でひとつの目標に向かい
最高の作品が完成した時の達成感は格別です。
大変なこと・厳しいこと
常に「選ばれる」立場
• 圧倒的な収入の不安定さ
来月の仕事がある保証は、どこにもありません。
常に「仕事がなくなったらどうしよう」という不安と隣り合わせです。
• 「オーディションに落ち続ける」という精神的苦痛
オーディションは受かることより
落ちることの方が圧倒的に多い世界です。
自分の全てを否定されたかのような感覚に
何度も耐えうる強靭な精神力が求められます。
• 不規則な生活と、膨大な「待ち時間」
早朝から深夜に及ぶ撮影は日常茶飯事。
また、現場では「待ち時間」が非常に長く
その間も集中力を維持し続ける忍耐力が必要です。
• プライバシーのなさ(有名になった場合)
有名になればなるほど、私生活が世間の目に晒され
自由が失われていくという代償も伴います。
あなたはどっち?
俳優に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「演じたい」という、抑えきれない表現欲求を持つ人
• 精神的に極めてタフで、失敗や批判を引きずらない人(打たれ強い人)
• 人間観察が好きで、人の感情の機微に敏感な人
• 地道な努力を、コツコツと続けられる忍耐力がある人
• 協調性があり、チームでひとつのものを作るのが好きな人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、決まった休日を望む人
• 人から評価されること、拒絶されることに、極度のストレスを感じる人
• 地道な練習や、暗記が嫌いな人
• 「待ち時間」が苦痛で、じっとしていられない人
• 「有名になりたい」という気持ちだけで
演じること自体に情熱がない人
高度な技術を持った「表現者」
俳優は、単なる「目立ちたがり屋」の仕事ではありません。
それは、人間の心を深く洞察し
自らの肉体と感情を楽器として、物語を奏でる
高度な技術を持った「表現者」です。
その道は、99%の厳しさと、1%の輝きでできている
と言っても過言ではありません。
しかし、その1%の輝きすなわち
「人の心を動かせた」という瞬間の喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい舞台を目指し続けているのです。
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