画家の仕事とは?
年収・なり方から「食べていけない」
厳しい現実まで徹底解説!
一枚のキャンバスに、自らの哲学、美意識
感情のすべてを注ぎ込み
世界に2つとない「作品」を生み出す「画家」。
アトリエにこもり、ただひたすらに自己表現を追求するその姿は
芸術・芸能の仕事の中でも
特に孤高で、ロマンに満ちた生き方に見えるかもしれません。
しかし、「画家として生きていく」とは
具体的にどのようなことなのでしょうか。
「趣味で絵を描く」ことと
「プロの画家」であることの間には
どれほどの違いがあるのか。
この記事は[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「画家」という仕事のリアルを
その収入源から厳しい現実
そして何物にも代えがたいやりがいまで徹底的に解剖します。
具体的な仕事内容は?
「描く」と「売る」
画家の仕事は単に「絵を描く」ことだけでは成立しません。
それは「作品を創造する活動」と
「作品を世に問い、販売する活動」の両輪で成り立っています。
(※この記事ではクライアントの依頼で絵を描く「イラストレーター」とは
区別し自らの芸術作品を制作する「ファインアート」の画家を主に指します)
1. 制作活動
これが画家の核となる仕事です。
• テーマの探求・構想
自分が何を表現したいのか
どのようなテーマで描くのかを、常に思考し研究します。
• 制作
アトリエでキャンバスに向かい、油彩、水彩、アクリルなど
自らが選んだ技法で、構想を形にしていきます。
この作業は1枚の作品に数ヶ月、時には数年を要することもあります。
2. 発表・販売活動
どれだけ素晴らしい作品を描いても
人に見られ、購入されなければ仕事としては成立しません。
• ギャラリー(画廊)での発表
自身の作品を取り扱ってくれるギャラリーと契約し
個展やグループ展を開催します。
• コンクール(公募展)への出品
権威あるコンクールに出品し
入選・受賞することで自身の評価と知名度を高めます。
• コミッションワーク(注文制作)
個人や企業から、「こういう絵を描いてほしい」
という依頼(コミッション)を受けて制作します。
画家になるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や学歴は
一切ありません。
究極的には、あなたの作品が「アート」として認められ
それを購入する人がいれば、あなたはプロの画家です。
【しかし、最も一般的な道は存在する】
• 美術大学・専門学校への進学
多くの画家が、美術大学(美大)や専門学校で
デッサン、絵画理論、美術史といった基礎技術と教養を学びます。
• 「資格」より「学歴」と「人脈」
美大に行く最大の理由は、「資格」のためではありません。
①高度な専門教育
②教授や同窓生との人脈(これが後のギャラリー紹介などに繋がる)
③コンクールへの出品チャンス
④作家としての「箔(はく)」
を得るためです。
• 「ポートフォリオ」が全て
最終的にあなたの実力を証明するのは「学歴」ではなく
「ポートフォリオ(作品集)」だけです。
気になる給料・年収事情
この問いに答えるのは俳優の年収を語るのと同じくらい困難です。
なぜなら収入は「ゼロから数億円」まで
天と地ほどの差があるからです。
「画家として絵の販売だけで
生活できている人は、ほんの一握り」
これが、まず知るべき厳しい現実です。
• 収入源の例
• 作品の販売収益
ギャラリーで作品が売れた場合
その売上の一部(一般的に50%前後)が画家の収入となります。
• コミッションワークの報酬
• コンクールの賞金
• 教室の運営
多くの画家が生計を立てるために「絵画教室」や
「美術予備校の講師」を兼業しています。
• アルバイト
若手時代は特に制作活動と並行して
全く別のアルバイトで生活費を稼ぐことが一般的です。
年収で考えるのではなく「絵が売れなければ、収入はゼロ」という
完全実力主義の非常に不安定な世界であるという覚悟が必要です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「自己表現」
• 「自分」の全てを作品にできる
自分の考え、哲学、見た景色
感じた感情のすべてを「作品」という形で
この世に残すことができる。
これこそが画家にしか味わえない、最大のやりがいです。
• 時代や国境を超える「共感」
自分の作品が、見知らぬ誰かの心を深く揺さぶり
「この絵に出会えてよかった」と感じてもらえた時の喜びは
計り知れません。
• 自由と、孤独
(売れれば、ですが)時間や場所、人間に縛られず
自分の裁量で生きていける可能性があります。
大変なこと・厳しいこと
「生みの苦しみ」と「孤独」
• 圧倒的な経済的不安
これが最大の厳しさです。「絵が売れない」という現実は
即「生活ができない」という現実に直結します。
• 創造性のプレッシャー(生みの苦しみ)
「描きたいものが、描けない」
「自分の表現が見つからない」というスランプとの戦いは
精神的に非常に過酷です。
• 社会的な「孤独」
制作活動は、基本的にアトリエに1人きりです。
会社員のように同僚と雑談したり
励まし合ったりする環境はありません。
• 批判との対峙
自分の魂を削って生み出した作品が、批評家や世間から
容赦のない批判に晒されることもあります。
あなたはどっち?
画家に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「描くこと」が目的であり
生きることそのものである人
• 精神的に極めてタフで、孤独を愛せる人
• 他人の評価に左右されず、自分の「表現」を信じ抜ける人
• 探求心が尽きず、地道な努力(デッサンなど)を続けられる人
• 経済的な不安定さを、覚悟できる人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、決まった休日を望む人
• 「描くこと」よりも、「画家と呼ばれること」に憧れている人
• 人からの批判や、否定的な意見に、ひどく落ち込んでしまう人
• 孤独が苦手で、常に人と関わっていたい人
• 地道な基礎練習が嫌いな人
「表現」とは何かを問い続ける、孤高の探求者
画家は、単なる「絵が上手い人」ではありません。
それは、自らの内面世界と深く向き合い
生涯をかけて「表現」とは何かを問い続ける、孤高の探求者です。
その道は、経済的な保証など何もない
茨の道かもしれません。
しかし、「自分にしか生み出せない作品で誰かの心を動かしたい」
という、燃えるような情熱を抑えきれない人にとって
それこそが、人生を懸けるに値する唯一無二の生き方なのです。
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