声優の仕事とは?
年収・なり方から「9割が食べていけない」
厳しい現実まで徹底解説!
アニメ、ゲーム、映画の吹き替え…。
「声」だけを武器に、キャラクターに命を吹き込み
私たちを物語の世界へといざなう「声優」。
「好きなアニメに関わりたい」
「自分の声で人を感動させたい」
そんな想いを抱く若者にとって
今や最も人気のある職業のひとつです。
しかし、その華やかなスポットライトの裏には
「声優志望者は数万人、プロは数千人」と言われる
熾烈な競争社会と、想像を絶する厳しい現実が存在します。
この記事は[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「声優」という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
声優になるには?
必要な資格は?
A. 俳優や画家と同様
声優になるために法律で定められた必須の
国家資格や学歴は、一切ありません。
しかし、プロとして活動するためには
専門的な技術と業界への「入り口」が不可欠です。
【プロになるための一般的なルート】
1. 養成所・専門学校で学ぶ
最も王道なルートです。全国にある声優養成所や
専門学校の「声優科」で、発声、滑舌、演技、アフレコ(アテレコ)
といった基礎技術を1〜2年かけて学びます。
2. 芸能事務所(声優プロダクション)のオーディションに合格する
養成所の卒業時や、一般公募されるオーディションを受け
事務所への「所属」を目指します。
これに合格して初めて
プロ声優としてのスタートラインに立つことができます。
「声が良い(イケボ・カワボ)」だけでは
決してなれません。
声優はその名の通り「声の俳優(Voice Actor)」であり
キャラクターの感情を表現する「演技力」こそが、最も重要です。
具体的な仕事内容は?
マイクの前だけではない!
声優の仕事は、私たちが想像する「アニメのアフレコ」以外にも
非常に多岐にわたります。
• 1. アニメのアフレコ(アフター・レコーディング)
完成したアニメ映像に合わせ、台本を見ながら台詞を収録していきます。
• 2. 外画(がいが)の吹き替え
海外の映画やドラマの俳優の口の動き(リップシンク)に合わせて
日本語の台詞を当てていきます。
• 3. ゲームの音声収録
「うっ!」「はぁっ!」といった短い掛け声(ボイス)から
長文の台詞まで、膨大な量を収録します。
多くの場合、他の共演者とは別に
1人でブースに入り、何時間も収録を続けます。
• 4. ナレーション
テレビのドキュメンタリー番組や、CM、企業のPRビデオなどで
情報を分かりやすく伝える「語り」を担当します。
• 5. 【重要】マイクの外での仕事
現代の声優にとって、以下の活動も非常に重要な仕事です。
• 歌唱・音楽活動
キャラクターソングの歌唱や、アーティストとしてCDをリリースします。
• ラジオ・イベント出演
アニメやゲームの関連イベント、ラジオ番組で
トークスキルを披露します。
• 舞台・朗読劇
俳優として、舞台に立つこともあります。
気になる給料・年収事情
「9割の声優が、声優業だけでは食べていけない」
これは、この業界の厳しい現実を示す、有名な言葉です。
収入は完全な「実力・人気・実績主義」であり
ピンからキリまで、天と地ほどの差があります。
• 収入の仕組み
「ギャランティ(報酬)制」
会社員のような月給制ではありません。
アニメ1本、ゲーム1本ごとの出演料(ギャラ)が収入となります。
• 「ランク制度」という壁
声優のギャラは、経験年数などに応じた「ランク」で決まっています。
• ジュニアランク(新人)
芸歴3年目まで。アニメ1本(30分)あたり一律15,000円。
たとえ主役で、どれだけ台詞が多くても、この金額は変わりません。
【収入の目安】
• 新人・若手声優
年収 ほぼゼロ ~ 150万円
「声優業だけで生活することは、ほぼ不可能」です。
ほとんどの人が生活費を稼ぐために
週に何日もアルバイト(コンビニ、飲食店など)をしながら
オーディションを受け続ける日々を送ります。
• 中堅声優(名前が知られ始める)
年収300万円~1,000万円
アニメやゲームで、コンスタントに役(脇役でも)
がもらえるようになると、ようやくアルバイトを辞め
「声優業」だけで生活できるようになります。
• トップ声優(誰もが知るレベル)
年収 3,000万円~数億円
アニメやゲームのギャラに加え、CDの印税
イベント出演料、スポンサー契約料などで、収入は青天井です。
しかし、これは、数万人いる声優志望者の中で
ほんの0.1%にも満たない世界です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
何物にも代えがたい「命を吹き込む」喜び
• キャラクターに「命」を与えられる
自分が声を当てたキャラクターが
映像の中で生き生きと動き、視聴者に愛された時
それは何物にも代えがたい喜びです。
• 「声」で人の心を動かせる
自分の演技で人を泣かせたり笑わせたり、勇気づけたりできる。
その感動は、この仕事の最大の醍醐味です。
• ファンからの「ありがとう」
イベントや手紙、SNSを通じて
ファンから「あなたの声に元気をもらいました」と
直接感謝の言葉を届けてもらえること。
大変なこと・厳しいこと
常に「選ばれる」立場
• 圧倒的な経済的不安
これが最大の厳しさです。
「いつ仕事がなくなるか分からない」
「オーディションに受からなければ、収入はゼロ」
という不安と、常に隣り合わせです。
• 終わりなき「オーディション」の日々
ひとつの役を得るために
何十、何百というライバルと競い合います。
オーディションは、受かることより
落ちることの方が圧倒的に多い世界です。
• 肉体的な「危険」=「喉(のど)」
声優にとって、喉は命そのもの。
風邪はもちろん、声帯ポリープなどの故障は
即「失業」に繋がります。
日々の徹底した体調管理は、仕事以前の義務です。
• 精神的なプレッシャー
ファンからの期待、SNSでの評価や批判
そして「アイドル的活動」への適応など、精神的なタフさが求められます。
あなたはどっち?
声優に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「演じること(演技)」が好きな人
• 精神的に極めてタフで、打たれ強く、絶対に諦めない心を持つ人
• 地道な努力(発声、滑舌練習)を、毎日続けられる忍耐力がある人
• 体調管理(特に喉)を、徹底できるプロ意識を持つ人
• 協調性があり、監督や共演者の意図を汲み取れる人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、決まった休日を望む人
• 「声が良い」と褒められるだけで、演技の練習はしたくない人
• 人からの評価や、オーディションに落ちることに
ひどく傷つきやすい人
• 地道な基礎練習が嫌いな人
• 「有名になりたい」という気持ちだけで、演技自体に情熱がない人
99%の厳しさと1%の輝き
声優は、単なる「声が良い人」ではありません。
それは、自らの声と肉体、そして感性のすべてを武器に
キャラクターの感情を表現する高度な技術を持った「俳優」です。
その道は、99%の厳しさと1%の輝きでできている
と言っても過言ではありません。
しかし、その1%の輝き
すなわち「自分の声で、作品に命を吹き込めた」という瞬間の喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しいマイクの前を目指し続けているのです。
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