イラストレーターの仕事とは?
年収・なり方から「キツい」現実
必要な道具まで徹底解説!
雑誌の表紙、お気に入りの本の挿絵
Webサイトを彩るキービジュアル
ゲームのキャラクター…。
私たちの日常のあらゆる場面で
その「絵」によって、情報や物語に魅力と
彩りを加えるプロフェッショナル
それが「イラストレーター」です。
「絵を描くことを仕事にしたい」
これは、「好き」を仕事にしたいと願う人にとって
最も魅力的で、憧れのキャリアパスの1つです。
しかし、そのクリエイティブな世界の裏には
「画家(アーティスト)」とは異なる
厳しい「商業美術」としての現実が存在します。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「イラストレーター」という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
イラストレーターになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。
究極的には、あなたの絵が「クライアント(依頼者)」に求められ
対価が支払われれば、あなたはプロのイラストレーターです。
【「資格」より「ポートフォリオ」が全て】
イラストレーターの世界で
あなたの名刺代わりとなるのは「資格」ではなく
「ポートフォリオ(作品集)」です。
自分が「何を描けるのか」「どんな画風(タッチ)を持っているのか」を
一目で分かってもらうための作品集こそが
仕事を得るための唯一にして最強の武器となります。
【持っていると有利なスキル・知識】
• デジタルツールの習熟
現代の商業イラストは、ほぼ全てがデジタル制作です。
Adobe Photoshop®
Illustrator®
Clip Studio Paint (クリスタ)といった描画ソフトを
プロレベルで使いこなせるスキルは必須です。
• (その他)
「イラストレーション検定」などの民間資格もありますが
合否が採用に直結することは稀です。
具体的な仕事内容は?
「画家」との決定的な違い
画が「自己表現」からスタートするのに対し
イラストレーターの仕事は
必ず「クライアント(依頼者)の要望(ブリーフ)」からスタートします。
これが「画家」との決定的な違いです。
活躍の場は、大きく「フリーランス」と「会社員」に分かれます。
1. フリーランスの場合
• 営業・セルフプロデュース
自分のポートフォリオサイトや
SNS(X, Instagram, pixivなど)を更新し
「自分はここにいる」と発信し続けます。
• 打ち合わせ
クライアントから依頼を受け
目的、ターゲット、予算、納期、画風などを詳細にヒアリングします。
• ラフ制作
構図やアイデアの「下書き(ラフ)」を数パターン提案し
方向性をすり合わせます。
• 本制作
ラフが通ったら、本番のイラストを制作します。
• 修正対応
クライアントからの「もっとこうしてほしい」という
修正依頼に対応します。これが最も重要な仕事の1つです。
• 納品・請求
データを納品し、請求書を発行します。
2. 会社員の場合
ゲーム制作会社や、デザイン事務所などに所属します。
• チームでの制作
ディレクターやデザイナーと連携し
ゲームのキャラクターデザイン
背景、アイテムなど、プロジェクトの一部としてイラストを制作します。
• 安定した制作環境
フリーランスのような営業や経理作業はなく、制作に集中できます。
気になる給料・年収事情
収入は、働き方(フリーランスか会社員か)や
実績・人気によって、まさにピンからキリまでです。
• 会社員イラストレーター
年収 約350万円~600万円
企業の給与体系に基づき、安定した収入が得られます。
ゲーム業界や大手企業の場合、より高水準になることもあります。
• フリーランス・イラストレーター
年収 ほぼゼロ ~ 数千万円
「実力」と「営業力」が全てです。
• 新人・駆け出し
年収 ほぼゼロ ~ 150万円
単価の低い仕事をこなしながら実績を積む時期。
アルバイトをしなければ生活できない人がほとんどという
最も厳しい時期です。
• 中堅(専業)
年収300万円~600万円
コンスタントに仕事の依頼が来るようになり
ようやく「イラストレーター」として生活が成り立つようになります。
• トップクラス(超売れっ子)
年収1,000万円以上
有名企業の広告や、人気書籍の表紙などを手掛けるようになると
1枚のイラスト単価が数十万円になることも。収入は青天井です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「好き」を仕事に
• 自分の「絵」が、世に出る喜び
自分が描いたイラストが、書店に並ぶ本の表紙になったり
街中のポスターになったり
ゲームのキャラクターとして動いたりする。
その達成感は、何物にも代えがたいものです。
• クライアントや、その先の「誰か」に喜ばれる
「あなたの絵のおかげで、商品が売れたよ」
「この絵、大好きです!」といった
クライアントやファンからの感謝が、直接のモチベーションになります。
• 「好き」を探求し続けられる
画力を上げるための努力が、そのまま仕事の質に直結します。
「好き」を追求することが
そのままキャリアアップになる幸せな職業です。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. クライアントの要望 > 自分の好み
これが最大の厳しさです。
「自分の好きなように描きたい」という想いと
「クライアントの要望」が食い違うことは日常茶飯事です。
求められる絵を、100%以上の品質で描くのがプロであり
アーティストではありません。
• 2. 終わりなき「修正」
クライアントがOKを出すまで、何度も何度も修正が入ります。
時には、ほぼ描き直しに近いような指示が来ることもあり
それに耐えうる忍耐力と柔軟性が求められます。
• 3. 納期との戦い
常に複数の締め切りに追われるため
スケジュール管理は必須。
納期前は、徹夜が続くことも珍しくありません。
• 4. 経済的な不安定さ(フリーランス)
仕事がなければ、収入はゼロ。
常に営業活動を続けなければならないプレッシャーがあります。
• 5. 職業病という「危険」
物理的な危険はありませんが、健康面でのリスクが非常に高い仕事です。
• 腱鞘炎(けんしょうえん)
ペンを握り続けることによる、手首の故障。
• 腰痛・肩こり
一日中、同じ姿勢で座り続けることによる、身体的な負担。
• 眼精疲労
PCモニターを見続けることによる、目の酷使。
あなたはどっち?
イラストレーターに向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、絵を描くことが「異常なまでに」好きな人
• クライアントの「要望」を汲み取り
それを形にすることに喜びを感じる人
• 地道な修正作業にも、コツコツと耐えられる忍耐力がある人
• 納期を守れる、自己管理能力が高い人
• (フリーランスの場合)コミュニケーション能力と、営業力がある人
【向いていない人の特徴】
• 「自分の好きな絵だけ」を描いていたい人(画家向き)
• 人からのダメ出し(修正依頼)に、ひどく落ち込んでしまう人
• 納期や時間を守るのが苦手な人
• 一日中じっとしているのが苦手な人
• 安定した収入や、決まった休日を望む人(フリーランスの場合)
クライアントの要望を汲み取り、それを形にする
イラストレーターは、単なる「絵が上手い人」ではありません。
それは、クライアントの要望という「制約」の中で
自らの技術と感性を最大限に発揮し
商業的な価値(=人の心を動かす力)を生み出す
高度な技術を持った「職人」です。
その道は、決して楽なものではなく
地道な努力と、厳しい競争
そして自分自身の健康管理が求められます。
しかし、「自分の好き」で誰かを喜ばせることができる
最高にクリエイティブで、やりがいに満ちた仕事です。
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