仕事

映画監督

映画監督の仕事とは?
年収・なり方から「すべてを背負う」過酷な現実と
最高のやりがいまで徹底解説!

 

たった2時間の映像で
世界中の人々を泣かせ、笑わせ、熱狂させる。

「映画」という、何百人もの才能が関わる総合芸術の
たった1人の「最終責任者」
それが「映画監督」です。

レッドカーペットを歩く華やかな姿。

しかし、そのスポットライトの裏側には
数億円の予算と、何百人ものスタッフ・キャストの人生を一身に背負う
計り知れないプレッシャー孤独な戦いが存在します。

この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「映画監督」という
芸術と芸能の頂点とも言える仕事のリアルを徹底的に解剖します。

 

映画監督になるには?
必要な資格は?

A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。

究極的には、あなたの撮った作品が「映画」として認められれば
あなたは映画監督です。
しかし、商業映画の監督としてデビューするには
決まったルートはなく、大きく分けて3つの道が存在します。

【プロになるための主なルート】

1. 助監督(AD)として現場で叩き上げる

最も伝統的な道です。
制作会社に入社し「助監督(アシスタントディレクター)」
として現場の雑用
(ロケ地の手配、弁当の発注、スケジュール管理など)からスタート。

数年、時には10年以上の過酷な下積みを経て
師匠である監督やプロデューサーに認められ、監督に昇進します。

2. 映画祭で賞を獲り、スカウトされる

まずは自腹で「自主制作映画」を撮り
国内外の映画祭(ぴあフィルムフェスティバル、カンヌなど)に出品。
そこでグランプリなどの賞を受賞し、その才能を業界に認めさせて
デビューのチャンスを掴む道です。

3. 専門学校・美大で学び、人脈を作る

映画監督の専門学校や、美術大学の映像学科で
理論と技術を学びます。

そこで作った卒業制作が評価されたり
教授や先輩との人脈を通じて、業界に入ったりするケースです。

「資格」ではなく、あなたの作品(実績)と
諦めない情熱、そして「人脈」がすべてです。

日本映画監督協会

 

具体的な仕事内容は?
「王様」であり「奴隷」

映画監督の仕事は、映画製作の
「プリプロダクション(準備)」
「プロダクション(撮影)」
「ポストプロダクション(仕上げ)」の全工程を指揮することです。

1. プリプロダクション(準備)

映画の面白さは、ここで9割決まると言われる、最も重要な期間です。

脚本(シナリオ)開発

脚本家と、物語のテーマや台詞、構成を
それこそ「一言一句」レベルで徹底的に議論し、練り上げます。

キャスティング

作品の世界観に合う俳優を
オーディションなどで決定します。

ロケーション・ハンティング(ロケハン)

脚本に描かれた風景を探し
日本中、時には世界中を飛び回ります。

絵コンテ作成

カメラアングルや俳優の動きを、漫画のように絵に起こし
スタッフ全員の「設計図」を作ります。

予算とスケジュールの管理

(プロデューサーと共同で)莫大な予算と
限られた時間の中で、どうやって作品を完成させるかを計画します。

2. プロダクション(撮影)

現場での「総指揮官」です。

「演出」

俳優に対し「この人物は、今、何を考えているか」を伝え
その感情を引き出す、最も重要な仕事です。

各部署への指示

カメラマンには「アングル」
照明部には「光」
美術部には「小物の配置」など
自分の頭の中にあるイメージを全スタッフに的確に伝え形にさせます。

トラブルシューティング

「天候が悪い」
「機材が壊れた」
「俳優が来ない」など
毎日起こる不測の事態に、即座に決断を下します。

3. ポストプロダクション(仕上げ)

撮影した「素材」を、「作品」に昇華させる最終工程です。

編集

編集マンと、何十時間もある映像素材から
最高のカットを選び、繋ぎ合わせ、映画の「リズム」を作ります。

音響・音楽

効果音、俳優の声、そして劇伴(BGM)を
どのタイミングでどれくらいの音量で入れるかを決めます。

 

気になる給料・年収事情

この問いに答えるのは、最も困難です。
なぜなら、収入は「ほぼゼロ(借金)から数億円」まで
天と地以上の差があるからです。

収入源:「監督料」

映画1本を監督したことに対する報酬(ギャランティ)です。
(※大ヒットした場合
印税や興行収入に応じたインセンティブ契約を結ぶトップ監督もいます)

【収入の目安】

自主映画・若手
年収 ほぼゼロ ~ 300万円

自主映画の場合、監督が自腹(借金)で
制作費を出していることも珍しくなく、収入はゼロ以下です。

中堅(商業映画・ドラマ監督)
年収400万円~1,000万円

映画1本の監督料は、数百万円が相場と言われます。
しかし1本の映画には準備から仕上げまで1~2年かかります。
つまり「年収」で考えると、決して高いとは言えません。

トップクラス(国民的ヒット監督)
年収 数千万円~数億円

CM契約や、複数の作品を同時に手掛けることで
莫大な収入を得ることができます。

多くの監督が、映画だけでは生活できず
CMやミュージックビデオの監督、専門学校の講師などを兼業して
生計を立て、次の映画のチャンスを待っています。

 

仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ

やりがい

究極の「創造主」

「自分の作品」が、世界に残る

自分の頭の中にしかなかった「物語」が
何百人もの力を借りて「映画」という形になり
それが劇場で上映され、何十年も残り続ける。
この「創造主」としての喜びは、何物にも代えがたいものです。

「総合芸術」のリーダーとしての興奮

俳優、カメラ、照明、美術、音楽…。
あらゆる分野のプロフェッショナルをまとめ上げ
1つのゴールに向かって突き進む。
その「オーケストラの指揮者」のような興奮は、監督だけの特権です。

人の心を動かせたという実感

自分の作品で観客が泣いたり、笑ったり、人生について考えたりする。
その瞬間に立ち会えた時の喜びは全ての苦労を吹き飛ばします。

大変なこと・厳しいこと・危険なこと

1. 計り知れない「プレッシャー」

これが最大の厳しさです。

興行のプレッシャー
数億円の予算を預かり「この映画がコケたら、次はない」という
キャリアの断絶と常に隣り合わせです。

時間のプレッシャー
1日の撮影が数分押すだけで
何百万円もの追加予算が発生します。

2. 孤独な「決断」

現場で迷った時、スタッフや俳優は、全員が監督の「顔」を見ます。
監督は、たった1人で
全ての最終決断を下しその全責任を負わなければなりません。

3. 過酷な「肉体労働」

準備から撮影終了まで、数ヶ月間、睡眠時間は数時間
という日が続くことも珍しくありません。
強靭な体力がなければ倒れます。

4. 「危険」=「キャリアの死」

物理的な危険(過酷なロケ地での事故など)もありますが
最大の危険は「失敗が許されない」ことです。
一本の失敗が、次のチャンスを永遠に奪う可能性がある
非常にシビアな世界です。

 

あなたはどっち?
映画監督に向いている人・向いていない人

【向いている人の特徴】

何よりもまず、「物語を伝えたい」という、抑えきれない情熱を持つ人

精神的・肉体的に極めてタフで、プレッシャーを楽しめる人

「決断力」があり、何百人もの人間を導く「リーダーシップ」を持つ人

他人の才能を見抜き、それを引き出すことに喜びを感じる人

客観的な視点と、主観的な情熱を、両立できる人

【向いていない人の特徴】

 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人

プレッシャーに極端に弱い人、優柔不断な人

「自分の作品」にこだわり過ぎて
他人の意見(脚本家やプロデューサー)を聞けない人

人とコミュニケーションを取るのが苦手な人
(孤独な作業ではないため)

体力に自信がない人

 

何百人ものスタッフ・キャストの人生を一身に背負う

映画監督は、単なる「アーティスト」ではありません。
それは、芸術家としての「感性」と、職人たちを束ねる「リーダーシップ」
そして莫大な予算を動かす「経営者」としての側面を
全て同時に要求される、究極の仕事です。

その道は、99%の苦しみと、1%の歓喜でできている
と言っても過言ではありません。

しかし、その1%の歓喜、すなわち「自分の映画で、世界を感動させた」
という瞬間の喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい「監督席」を目指し続けているのです。

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ABOUT ME
aki
akiです。過去の交通事故で夢を諦め、人生の挫折から多くを学びこれからの人生をより豊かに生きるため日々精進しております。 調べることが大好きでわからないこと知りたいことがあればとにかく調べるやってみる!好奇心が絶えません!