ネイリストの仕事とは?
年収・なり方から「キツい」現実
必要な資格まで徹底解説!
わずか数センチ四方の爪(つめ)という小さなキャンバスに
無限のデザインと色彩を施し
人の指先に「ときめき」と「自信」を宿す美の職人。
それが「ネイリスト」です。
「美容やアートが好き」
「自分のセンスで人を喜ばせたい」
そんな想いを抱く人にとって非常に魅力的で
芸術・芸能の世界にも通じるクリエイティブな仕事です。
しかし、その華やかで繊細な世界の裏には
想像以上の地道な努力と、プロとしての厳しい現実が存在します。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「ネイリスト」という仕事のリアルを徹底的に解剖します。
ネイリストになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格はありません。
しかし、プロとして働くためには
技術と信頼の「証明」が事実上不可欠です。
極端に言えば「今日から私はネイリストです」
と名乗れば誰でもなることができます。
しかし、お客様の大切な爪を預かり
薬品や刃物(ニッパーなど)を扱う以上
何の知識も技術もなければ、仕事として成立せず非常に危険です。
【プロの世界の「事実上の必須資格」】
JNEC ネイリスト技能検定試験
(公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター)
最も歴史と権威のある検定試験。
3級(基礎)から始まり
サロンワークで通用する2級
トップレベルの技術を持つ1級とステップアップします。
多くのサロンが、採用基準として「2級以上」を掲げています。
JNA ジェルネイル技能検定試験
(NPO法人日本ネイリスト協会)
現代のサロンワークの主流である「ジェルネイル」の専門知識と技術を問う試験。
ネイルサロン衛生管理士
サロンの衛生管理(消毒、感染症対策など)
に関する知識を証明する資格。
お客様の安全と信頼を守るために非常に重要です。
多くの場合、まず「ネイルスクール」に通い
上記の資格(最低でもJNEC 2級、JNA 中級)を取得します。
その後、ネイルサロンに就職し
アシスタントとして下積みを経験しながら、一人前のネイリストを目指します。
具体的な仕事内容は?
「塗る」だけではない「職人技」
ネイリストの仕事は、単に「マニキュアを塗る」ことではありません。
お客様の爪を健康な状態に導き
その上で芸術を施す、一連の専門技術です。
1. カウンセリング
これが最も重要な仕事の1つです。
お客様の好み(デザイン、色)
ライフスタイル(水仕事が多いか、PC作業が多いか)
爪の悩み(割れやすい、形がコンプレックスなど)を丁寧にヒアリングし
最適な施術を提案します。
2. ネイルケア(地爪の手入れ)
美しいアートの土台作りです。
ファイリング
爪の長さや形を、やすりで整えます。
甘皮(あまかわ)処理
爪の根元にある余分な皮(キューティクル)を
専用のニッパーなどで丁寧に取り除きます。
3. アート・施術
いよいよ「アーティスト」としての腕の見せ所です。
カラーリング
マニキュア(ポリッシュ)を塗ります。
ジェルネイル
現代の主流。UV/LEDライトで硬化するジェルを使い
グラデーションやフレンチ、繊細な手描きアートを施します。
イクステンション
スカルプチュア(アクリル)などで、爪の長さを出します。
4. その他
施術後の清掃、道具の徹底した
「消毒・衛生管理」、予約受付、SNSでのデザイン発信(集客)なども
重要な仕事です。
気になる給料・年収事情
収入は、働き方(サロン勤務か、独立か)や
技術力(指名料)によって大きく異なります。
サロン勤務(正社員)の目安
アシスタント・新人
月給 約18万円~22万円
中堅~店長クラス
月給 約25万円~35万円
全体の平均年収
約300万円~400万円
これに加えて、個人の売上に応じた「歩合(インセンティブ)」や
「指名料」が上乗せされるのが一般的です。
独立・フリーランスの場合
年収 ピンからキリまで 自宅サロンや業務委託
出張ネイリストなど、働き方は様々です。
「技術力」+「集客力」が全ての世界。
人気ネイリストになれば サロン勤務時代をはるかに超える
年収500万円~1000万円以上を稼ぐことも夢ではありませんが
お客様がつかなければ収入はゼロです。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
指先に「魔法」をかける喜び
お客様の「わぁ、可愛い!」が直接聞ける
施術が終わり、お客様が自分の指先を見てパッと笑顔になる瞬間。
これがネイリストにとって最大のやりがいです。
「芸術」を創造する喜び
小さな爪の上に、季節感やトレンド
お客様の個性を詰め込んだ
世界に1つだけのアートを完成させる達成感。
お客様の自信を引き出せる
爪が綺麗になることで、お客様の気分が上がり
コンプレックスが解消されるなど
人の心にまでポジティブな影響を与えられます。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
職業病という「危険」
これが最大の厳しさです。
アレルギー
ジェルやリムーバー(アセトン)といった化学物質を日常的に扱うため
「アレルギー性皮膚炎」を発症するリスクが常につきまといます。
これが原因で、仕事を辞めざるを得ない人も少なくありません。
身体的な負担
一日中、同じ姿勢で下を向き、細かい作業を続けるため
腰痛、肩こり、腱鞘炎、眼精疲労は、ネイリストの宿命とも言えます。
地道で、失敗が許されない作業
数時間にわたり、ミリ単位の正確性を求められる
極度の集中力が必要な仕事です。
精神的なプレッシャー
お客様の期待に応えられなかった時のクレームや
サロンによっては「売上ノルマ」が課せられる精神的な厳しさもあります。
あなたはどっち?
ネイリストに向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
・ 何よりもまず、「美容」や「アート」が好きな
・ 地道で、細かい作業が苦にならない「職人気質」の人
・ 集中力が非常に高い人
・ 人と話すのが好きで
「聞き上手」な人(カウンセリングが重要なため)
・ 新しいデザインや技術を、常に学び続ける向上心がある人
【向いていない人の特徴】
・ 大雑把な性格で、細かい作業が嫌いな人
・ じっとしているのが苦手で、飽きっぽい人
・ 化学物質に敏感、アレルギー体質の人
・ 人とコミュニケーションを取るのが苦手な人
・ 手荒れがひどい人
指先に「ときめき」と「自信」を宿す美の職人
ネイリストは、単なる「爪に色を塗る人」ではありません。
それは、お客様の心に寄り添う「カウンセラー」であり
健康な爪を育む「ケアの専門家」であり
そして何より指先に芸術を宿す「アーティスト」です。
その道は、アレルギーや身体的な負担
というリスクと隣り合わせの地道な職人道です。
しかし、自分の技術と感性で人を直接笑顔にできる
最高にクリエイティブで、やりがいに満ちた仕事です。
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