ダンサーの仕事とは?
年収・なり方から「怪我と隣り合わせ」の厳しい現実と
最高のやりがいまで徹底解説!
音楽が鳴り響くステージで
アーティストの背後からパフォーマンスを支え
時には自らが主役となり、観客を熱狂させる。
「ダンサー」とは、自らの「肉体」という唯一無二の楽器を使い
リズム、感情、物語を表現する、動く芸術家です。
「踊ることが、何よりも好き」
「自分のパフォーマンスで、誰かを感動させたい」
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「ダンサー」という芸能界で最もフィジカル(肉体的)で
最も過酷な仕事のリアルを
その収入源から常に隣り合わせの「危険」まで、徹底的に解剖します。
ダンサーになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。
究極的には、あなたの「ダンス」が「商品」として認められ
それにお金を払うクライアント(依頼者)や観客がいれば
あなたはプロのダンサーです。
【「資格」より「実績」と「オーディション」が全て】
プロとして活動するためには「オーディションに合格する」ことが
事実上のスタートラインです。
【プロになるための主なルート】
1. ダンススタジオ・専門学校で学ぶ
幼少期から、あるいは学生時代からダンススタジオに通い
様々なジャンル(ヒップホップ、ジャズ、バレエなど)の
基礎技術を徹底的に磨きます。
2. オーディションを受け続ける
事務所やアーティストが主催する「バックダンサーオーディション」や
テーマパーク、劇団のオーディションを受け続けます。
3. 人脈(コネクション)を作る
ダンススタジオの講師や
業界の振付師(コレオグラファー)の目に留まり
仕事を紹介してもらうケースも非常に多い、実力と人脈の世界です。
具体的な仕事内容は?
活躍の場は多種多様
プロダンサーの仕事は、1つのジャンルに留まりません。
• 1. バックダンサー
これが最もイメージに近い仕事です。
アーティストのコンサートツアーや、テレビの音楽番組
ミュージックビデオ(MV)に出演し
主役であるアーティストのパフォーマンスを
ダンスで何倍にも華やかにします。
• 2. テーマパークダンサー
ディズニーランド®やユニバーサル・スタジオ・ジャパン™などの
テーマパークで、パレードやショーに出演します。
ダンススキルだけでなく
観客を笑顔にする「表現力」や「演技力」も高度に求められます。
• 3. 舞台ダンサー
劇団四季のようなミュージカル劇団や、バレエ団
コンテンポラリーダンスのカンパニーに所属し
舞台作品の出演者として踊ります。
• 4. ダンスインストラクター
これが、多くのダンサーにとって「最も安定した収入源」です。
ダンススタジオで、一般の生徒やプロを目指す後進に
ダンスを教える仕事です。
• 5. 振付師(コレオグラファー)
ダンサーとしてのキャリアを積んだ後
ダンスの「振り」そのものを創り出す
クリエイター(演出家)側に回る道もあります。
気になる給料・年収事情
この問いに答えるのは、最も困難です。
なぜなら、収入は「ほぼゼロから数千万円」まで
天と地以上の差があるからです。
「ダンスパフォーマンスだけで生活できている人は
ほんの一握り」
これが、まず知るべき厳しい現実です。
• 収入源:「ギャランティ(報酬)制」
• バックダンサー
1曲(MV撮影)で3万円~10万円
リハーサル代(1日)5,000円~1万円など、単発の仕事が中心。
• テーマパークダンサー
契約社員や正社員として、月給 約20万円~30万円。
比較的、安定しています。
• ダンスインストラクター
スタジオの正社員なら年収300万円~400万円。
フリーの掛け持ちなら、レッスンのコマ数次第です。
【収入の目安】
• 新人・若手ダンサー
年収 ほぼゼロ ~ 150万円
単発のギャラだけでは生活できず
ほとんどの人が、ダンスインストラクターや
飲食店などのアルバイトを掛け持ちして生計を立てています。
• 中堅(専業ダンサー)
年収300万円~600万円
インストラクター業が軌道に乗ったり
有名アーティストの専属ツアーメンバーに選ばれたりすると
ようやく「ダンス」だけで生活できるようになります。
• トップクラス(有名振付師など)
年収 数千万円
CMや有名アイドルの振付師として名前が売れれば、収入は青天井です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「肉体表現」
• 「好き」がそのまま「武器」になる
自分の肉体と、磨き上げた技術
そして「踊りたい」という情熱そのものが、仕事になります。
• ステージの「一体感」
アーティストや、他のダンサー仲間
そして何万人もの観客と音楽を通じて一体となり、熱狂を生み出す。
その瞬間の高揚感はダンサーだけに許された特権です。
• 「作品」の一部になれる喜び
尊敬するアーティストのMVや
歴史に残る舞台の「ピース」として
自分のパフォーマンスが永遠に刻まれる誇り。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. 常に伴う「怪我」という危険
これが最大の厳しさです。
アキレス腱断裂、膝の靭帯損傷、疲労骨折…。
たった一度の大きな怪我(ケガ)が、即「引退」=「失業」
に繋がります。
ダンサーは、常にこの「危険」と隣り合わせのアスリートです。
• 2. 選手生命の短さ(若さとの戦い)
肉体のキレが求められるため、30代を過ぎると
第一線のパフォーマーとして生き残るのは非常に難しくなります。
常に「次のキャリア(インストラクターや振付師など)」
を考えておく必要があります。
• 3. 経済的な不安定さ
仕事は「オーディション」で勝ち取るもの。
来月の仕事がある保証はどこにもありません。
• 4. 過酷な「自己管理」
アスリートと同様、最高のパフォーマンスを維持するため
日々の過酷なトレーニング、
食事制限、体型維持が義務として課せられます。
あなたはどっち?
ダンサーに向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「踊ること」が目的であり
生きることそのものである人
• 精神的・肉体的に極めてタフで、打たれ強く
絶対に諦めない心を持つ人
• 怪我をしないための「自己管理」を、徹底できるプロ意識を持つ人
• 協調性があり、チームで一つのものを作るのが好きな人
• 音楽を聴くと、勝手に体が動いてしまう人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 怪我や、身体的な痛みに極端に弱い人
• 地道な基礎練習(筋トレ、ストレッチ)が嫌いな人
• 人からの評価や、オーディションに落ちることに
ひどく落ち込んでしまう人
• 「有名になりたい」という気持ちだけで
踊ること自体に情熱がない人
人の心を揺さぶる「表現のアスリート」
ダンサーは、単なる「目立ちたがり屋」ではありません。
それは、自らの肉体を極限まで鍛え上げ、音楽を視覚化し
人の心を揺さぶる「表現のアスリート」です。
その道は、99%の地道な基礎練習と、怪我の恐怖
そして1%のスポットライトでできている
と言っても過言ではありません。
しかし、その1%の歓喜すなわち「自分のダンスで、観客を熱狂させた」
という瞬間の喜びが、他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しいステージを目指し続けているのです。
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