小説家の仕事とは?
年収・なり方から「売れない」厳しい現実と
最高のやりがいまで徹底解説!
たった1人の頭の中で生まれた「物語」が
紙の上の「文字」となり、やがて世界中の人々の心を揺さぶり
時にはその人の人生観さえも変えてしまう。
「小説家」とは、自らの想像力と
言葉の力だけを武器に、無限の世界を創造する
究極のストーリーテラーです。
「自分の作品で、誰かを感動させたい」
「自分の生み出したキャラクターが
アニメや映画で動くのを見たい」
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「小説家」という、最も孤独で、最も夢のある仕事のリアルを
その収入源から厳しい現実
そして何物にも代えがたいやりがいまで、徹底的に解剖します。
小説家になるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は、一切ありません。
究極的には、あなたの書いた物語が「商品」として認められ
出版社が「本」として売り出し、読者がお金を払ってくれれば
あなたはプロの小説家です。
【「資格」より「デビュー」が全て】
プロとして活動するためには
まず「デビュー」の壁を突破しなければなりません。
【プロになるための主なルート】
1. 新人賞への応募(王道ルート)
出版社が主催する新人賞
(『群像』新人文学賞、オール讀物新人賞、電撃小説大賞など)に応募し
大賞や優秀賞を受賞することで
担当編集者がつき、デビューへの道が開けます。
2. 出版社への「持ち込み」
完成原稿を編集部に直接持ち込み、実力を見てもらう方法です。
現在はハードルが非常に高いですが
門戸が閉ざされているわけではありません。
3. Web小説からのスカウト(現代ルート)
これが、現代の最も大きな流れの1つです。
「小説家になろう」「カクヨム」といった
Web小説投稿サイトで作品を発表し
人気ランキングで上位に入ることで編集者の目に留まり
「書籍化(デビュー)」のオファーが来るケースです。
具体的な仕事内容は?
「書く」だけではない!
小説家の仕事は、アトリエで優雅にペンを走らせることではありません。
それは、締め切りに追われながら、ゼロから「商品」を生み出す
過酷な「創造」と「営業」の連続です。
• 1. 構想・プロット作成
これが最も重要であり、最も苦しい工程です。
「何をテーマにするか」
「どんな主人公にするか」
「物語のゴールはどこか」という、作品の「設計図」を作ります。
• 2. 取材・資料集め
リアリティを生み出すための、地道な作業です。
歴史小説なら古文書を読み漁り医療小説なら医師に取材し
ファンタジーでも、その世界の法則をゼロから構築します。
• 3. 執筆
パソコンや原稿用紙に向かい
ひたすら「書く」という、孤独な作業です。
• 4. 推敲・改稿
書き上げた原稿を、担当編集者と議論しながら
何度も何度も書き直します。
「ここの描写は伝わらない」
「このキャラクターは魅力的でない」
といった厳しい意見を受け、作品のクオリティを高めていきます。
• 5. 宣伝活動
本が出版されたら、それを「売る」のも仕事です。
雑誌のインタビュー、書店への挨拶回り(営業)
SNSでの発信など、自ら「広告塔」となります。
気になる給料・年収事情
この問いに答えるのは、最も困難です。
なぜなら、収入は「ほぼゼロから数十億円」まで
天と地以上の差があるからです。
「小説家として、専業で生活できている人は、ほんの一握り」
これが、まず知るべき厳しい現実です。
• 収入源の核:「印税(いんぜい)」
小説家の主な収入は、単行本が売れた時に支払われる印税です。
一般的に本の定価の8%~10%と言われています。
• 【収入のシミュレーション】
• 1冊700円(文庫)の小説、印税10%と仮定。
• 1冊売れるごとに、作家の収入は 70円 です。
• 初版1万部がすべて売れた場合
70円 × 10,000部 = 70万円
• この「70万円」を生み出すために
1年~2年を費やすことも珍しくありません。
• 重版(じゅうはん)がかかり
ベストセラーにならなければ
生活は成り立ちません。
• その他の収入源
• 原稿料
雑誌に連載した時の報酬。
• 二次利用料
アニメ化、映画化、ドラマ化された際の権利使用料。
これが大ヒット作家の収入の柱です。
• 講演料、審査員料
など。
結論として、多くの作家は
「作家」以外の仕事(会社員、アルバイト、講師など)と
兼業しながら生計を立て、創作活動を続けています。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「創造主」
• 自分の「物語」が、世に出る喜び
自分の頭の中にしかなかった世界
キャラクターが、「本」という形になり
日本中、世界中の人々に読んでもらえる。
この「創造主」としての喜びは、何物にも代えがたいものです。
• 読者からのダイレクトな反応
「この本が、私の人生を変えました」
「この言葉に救われました」といった
ファンからの熱い感想が、全ての苦労を吹き飛ばします。
• 自分の作品が「文化」として残る
自分が生み出した物語が世代を超えて読み継がれ
人々の記憶に残り続ける壮大なロマンがあります。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 経済的な不安定さ
これが最大の厳しさです。「本が売れなければ、収入はゼロ」。
次の作品が書けなければキャリアは終わります。
• 終わりなき「生みの苦しみ」
「書けない(スランプ)」という恐怖との戦いです。
締め切りは迫るのに、一行も書けない。
面白いアイデアが、何も思い浮かばない。
これは精神的に非常に過酷です。
• 孤独な戦い
執筆活動は、基本的にたった1人です。
自分と向き合い続ける、強靭な精神力が求められます。
• 職業病という「危険」
物理的な危険はありませんが
健康面でのリスクが非常に高い仕事です。
• 腰痛・腱鞘炎(けんしょうえん)・眼精疲労
一日中、同じ姿勢でPCに向かい続けることによる、身体の故障。
• 精神的ストレス
売上へのプレッシャー、SNSでの批判(誹謗中傷)
スランプによる「うつ」。
あなたはどっち?
小説家に向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「物語」を考えること
書くことが、生きることそのものである人
• 精神的に極めてタフで、孤独を愛し、批判(ダメ出し)に打たれ強い人
• 地道な作業(資料集め、推敲)を
コツコツと続けられる忍耐力がある人
• 「なぜ?」を常に考える、好奇心と探求心が尽きない人
• 自己管理能力が高く、締め切りを守れる人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 「書く」ことより、「読書」だけが好きな人
• 人からの批判(編集者のダメ出し)に、ひどく落ち込んでしまう人
• 孤独が苦手で、常に人と関わっていたい人
• 「有名になって楽をしたい」という気持ちが先行している人
無限の世界を創造する究極のストーリーテラー
小説家は、単なる「夢想家」ではありません。
それは自らの内面世界と深く向き合い社会を鋭く観察し
読者のニーズと自分の表現の狭間で戦い続ける「職人」であり
孤独な「探求者」です。
その道は、99%の苦しみと、1%の歓喜でできている
と言っても過言ではありません。
しかし、その1%の歓喜すなわち「自分の物語で、誰かの心を動かせた」
という瞬間の喜びが他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい「書く」という道を選び続けているのです。
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