ファッションデザイナーの仕事とは?
年収・なり方から「キツい」激務
最高のやりがいまで徹底解説!
パリ・コレクションの華やかなランウェイ。
雑誌の表紙を飾る、時代の最先端を行くスタイル。
「ファッションデザイナー」とは
自らの感性と哲学を「服」という形に変え
世の中に新しいトレンドと文化を生み出す、流行の創造主です。
「洋服が大好き」
「自分のデザインで、人を輝かせたい」
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「ファッションデザイナー」という
最も華やかで、最も競争の激しい仕事のリアルを
その収入源から、ショー直前の過酷な現実
そして何物にも代えがたいやりがいまで、徹底的に解剖します。
デザイナーになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。
究極的には、あなたのデザインが「商品」として認められ
それを着たいと思う人がいれば
あなたはプロのデザイナーです。
【しかし事実上の「必須」スキルはある】
この世界は、「資格」ではなく
あなたの「実力」と「感性」を証明する
「ポートフォリオ(作品集)」**がすべてです。
【プロになるための主なルート】
1. 服飾系の大学・専門学校で学ぶ(王道ルート)
文化服装学院やモード学園といった専門学校
または美大のテキスタイル科などでデザイン画(デッサン)
パターン(型紙)制作、縫製、素材(テキスタイル)学
ファッション史といった
服作りの全工程に関する専門知識と技術を体系的に学びます。
2. アパレル企業に就職する
学校を卒業後、アパレルメーカーや
デザイン事務所に「アシスタントデザイナー」として就職。
雑務や先輩の補助をしながら実務を学び
チーフデザイナーを目指します。
3. 独立・ブランド立ち上げ
コンテストで受賞したり、人脈を作ったりした後、
自らの名前でブランドを立ち上げる道。
最も夢がありますが、最もハイリスクな道です。
具体的な仕事内容は?
「絵を描く」だけではない!
デザイナーの仕事は、アトリエで優雅にスケッチを描くことではありません。
それは、「芸術家」としての感性と、「職人」としての技術
そして「経営者」としての数字感覚のすべてを要求される
過酷な「創造」と「製造」のプロセスです。
• 1. リサーチ&コンセプト立案
シーズンの半年前から、次のトレンドを予測します。街中、映画、アート、世界情勢など、あらゆるものからインスピレーションを受け、次のコレクションの「テーマ(コンセプト)」を決定します。
• 2. デザイン画(スケッチ)作成
コンセプトに基づき、何十、何百という数のデザイン画を描き起こします。
• 3. 素材(テキスタイル)の選定・開発
デザイン画に命を吹き込む「生地」を選びます。
世界中の生地見本市に足を運んだり
時には生地メーカーと共同で
オリジナルの生地(テキスタイル)を開発したりします。
• 4. パターン(型紙)制作
「パタンナー」と協力し、平面のデザイン画を
立体的な服にするための「設計図(型紙)」に起こします。
• 5. トワル(試作品)制作・フィッティング
シーチング(安価な布)で試作品(トワル)を作り
モデルに着せて(フィッティング)
シルエットや着心地をミリ単位で修正していきます。
• 6. 仕様書作成・工場との連携
量産化のため、ボタンの種類
縫い方などを細かく記した「仕様書」を作成し
生産工場とコストや納期について、シビアな交渉を行います。
• 7. ファッションショー・展示会
(コレクションブランドの場合)自らの作品を
ショーや展示会で発表し
バイヤー(買い手)やプレス(メディア)に売り込みます。
気になる給料・年収事情
収入は、働き方(企業所属か、独立か)や
ブランドの規模によって
まさにピンからキリまでです。
• アパレル企業勤務(企業デザイナー)
これが、最も一般的な働き方です。
• アシスタント時代
年収 300万円~400万円
• 中堅デザイナー
年収 400万円~600万円
• チーフ・ディレクター
年収 700万円~1,500万円
安定している反面、給与の伸びは比較的緩やかです。
• 独立・フリーランス
(オーナーデザイナー)
「ゼロ(赤字)から数十億円」という
ハイリスク・ハイリターンな世界です。
• 若手・駆け出し
ブランドを立ち上げた直後は
生地代やショーの費用で赤字になることがほとんど。
アルバイトをしながら活動を続ける人も少なくありません。
• 人気ブランド
ヒット商品が生まれれば
年収数千万円~数億円も夢ではありません。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「創造」と「共感」
• 自分の「空想」が、「現実」になる
自分の頭の中にしかなかったイメージがスケッチになり
布になり、立体的な「服」として完成した時の喜びは
何物にも代えがたいものです。
• 自分の服が、誰かの「日常」になる
街中で、自分がデザインした服を、見知らぬ誰かが着て
輝いている姿を見かけた時の感動。
• ショーの「数分間」の熱狂
何か月もかけて準備したコレクションを
ランウェイで発表する数分間。
その緊張感と、喝采を浴びた時の高揚感は
この仕事の最大の醍醐味です。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. 「創造」と「売上」の板挟み
これが最大の厳しさです。「自分が作りたい、芸術的な服」と、「会社(市場)が求める、売れる服」が、必ずしも一致しないこと。このバランス感覚が、プロとして生き残る鍵です。
• 2. 終わりなき「締め切り」と「激務」
ファッションの世界は、1年が4シーズン(春夏・秋冬)で回っています。
ひとつのコレクションが終われば、息つく暇もなく
次のシーズンの準備が始まります。
特にショーや展示会の直前は
数日間の徹夜も当たり前という、過酷な激務です。
• 3. 職業病という「危険」
物理的な危険はありませんが
健康面でのリスクが非常に高い仕事です。
• 腰痛・肩こり
一日中、同じ姿勢でミシンやPCに向かい続けることによる
身体の故障。
• 精神的ストレス
締め切り、売上へのプレッシャー
常に新しいものを生み出さなければならない「スランプ」との戦い。
• 4. 才能の枯渇という「恐怖」
「次のシーズン、自分はもう時代遅れかもしれない」という
常に新しい才能に追い抜かれる恐怖と、戦い続けなければなりません。
あなたはどっち?
デザイナーに向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「洋服」が、異常なまでに好きな人
• 精神的・肉体的に極めてタフで、徹夜や激務にも耐えられる人
• 「創造性(感性)」と、「論理性(ビジネス感覚)」の両方を持つ人
• 地道な作業(リサーチ、縫製、修正)を
コツコツと続けられる忍耐力がある人
• 「自分の表現」と「他者の要求」のバランスを取れる、柔軟性を持つ人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 「服を着る(買う)」のは好きだが
「作る」ことや地道な作業は嫌いな人
• 人からの批判(ダメ出し)に、ひどく落ち込んでしまう人
• 「自分の好きなものだけ」を作りたい人
(プロは、売れるものを作る仕事)
• 体力に自信がない人
新しいトレンドと文化を生み出す、流行の創造主
ファッションデザイナーは、単なる「おしゃれな人」ではありません。
それは、時代の空気を読む「マーケター」であり
素材を扱う「職人」であり
そして何より、莫大なプレッシャーの中で
次の「流行」を生み出す、孤高の「芸術家」です。
その道は99%の地道な努力と、1%のひらめきでできています。
しかし、その1%のひらめき
すなわち「自分のデザインで、世界を熱狂させた」
という瞬間の喜びが、
の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい「創造」の道を選び続けているのです。
他の仕事も見てみる→Check

