テレビカメラマンの仕事とは?
年収・なり方から「キツい・危険」
と言われる過酷な現実と
最高のやりがいまで徹底解説!
ドラマの感動的なシーン、バラエティ番組の爆笑の瞬間、歴史が動くニュースの現場。
私たちがテレビを通じて目にする「映像」は
すべて彼ら「テレビカメラマン」の
レンズを通して切り取られています。
「芸能人と仕事ができる」
「かっこいい機材を操る専門職」
そんな華やかなイメージとは裏腹に
その肩には何十キロもの機材と
「絶対に撮り逃せない」という
計り知れないプレッシャーがのしかかっています。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「テレビカメラマン」という
芸術と報道の最前線に立つ仕事のリアルを徹底的に解剖します。
カメラマンになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。
しかし、数千万円もする放送用カメラを扱うため
専門的な知識と技術がなければ、現場に立つことすらできません。
【「資格」より「所属」と「下積み」が全て】
プロとして活動するためには
まず「テレビ局」や、多くのカメラマンが所属する
「テレビ制作会社」「技術プロダクション」に就職する必要があります。
【プロになるための主なルート】
1. 映像系の専門学校・大学で学ぶ(王道ルート)
カメラの構造、撮影技術、映像理論などを体系的に学び
その知識と技術を武器に
制作会社などの就職試験を受けます。
2. 制作会社に就職し
「カメラアシスタント(CA)」からスタート
これが、最も現実的で、最も過酷な道です。
最初はカメラを触らせてもらえることすら稀。
ケーブルをさばく(通称:ケーブルマン)
重い機材の運搬、バッテリーの充電
レンズの清掃といった雑務を何年もこなし(=下積み)
師匠であるカメラマンの「背中」を見て、技術を盗んでいきます。
具体的な仕事内容は?
「スタジオ」と「ロケ」
テレビカメラマンの仕事は
その現場によって、求められるスキルが全く異なります。
• 1. スタジオ撮影(スタジオカメラマン)
バラエティ番組、音楽番組、ニュース番組などを担当。
• 複数台のカメラ(例:1カメ、2カメ…)の一員として
ディレクターからの指示(インカムで飛んでくる)に基づき
決められたアングル(例:司会者のバストアップ、芸人の「寄り」など)を
ミスなく正確に撮影し続けます。
• 瞬時の判断力と、チームワークが求められます。
• 2. ロケ撮影(ロケーションカメラマン)
ドラマ、ドキュメンタリー、バラエティのロケなどを担当。
• 常に状況が変わる屋外で、演者の動き、天候
光の加減を読みながら、最高の「画(え)」を狙います。
• 音声スタッフと連携し
「今、ここで何が起きているか」を視聴者に伝える
臨場感ある映像を撮る技術が求められます。
• 3. 報道カメラマン
ニュースやドキュメンタリーを専門とします。
• 事件、事故、災害現場など「歴史の生々しい瞬間」を記録します。
• 他のジャンルと異なり「撮り直し」が絶対にきかないため
即座の判断力と、時に「危険」な現場に飛び込む度胸が求められます。
• 4. 機材準備・メンテナンス
撮影は、準備が8割。
レンズの選定、バッテリーの管理、何十本ものケーブルの準備
そして高価な機材の清掃・メンテナンスも非常に重要な仕事です。
気になる給料・年収事情
収入は、所属する「会社」によって、天と地ほどの差があります。
• キー局(在京テレビ局)の社員
年収 800万円~1,500万円以上
最も高給で安定していますが
採用枠は極めて少なく、超難関です。
• 制作会社・技術プロダクションの社員
年収 350万円~700万円
これが、最も一般的なカメラマンの収入層です。
会社の規模や、本人のキャリア
(アシスタントか、チーフか)によって変動します。
• 新人(アシスタント)時代
年収 250万円~350万円
「下積み」の時期であり、長時間労働の割に
収入は低い傾向にあります。
この時期を耐え抜く覚悟が必要です。
• フリーランス
年収 ピンからキリまで
実力と人脈(コネ)が全ての世界。
トップクラスになれば年収数千万円も可能ですが
仕事がなければ収入はゼロです。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「目撃者」
• 自分の「画」が、全国に流れる
これが最大のやりがいです。
自分が切り取った映像が、何百万人もの視聴者の目に触れ
感動や笑いを生み出す。
その瞬間の喜びは、何物にも代えがたいものです。
• エンドロールに「自分」の名前が載る誇り
自分が関わった作品の最後に
スタッフとして「撮影:〇〇」と名前が流れた時の達成感。
• 「歴史の目撃者」になれる
オリンピックの決勝、アイドルの解散コンサート
歴史的な事件・事故。
普通の人生では決して立ち会えない
「その瞬間」の最前線に、立ち会うことができます。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. 過酷な「肉体労働」(キツい)
これが最大の厳しさです。
放送用カメラはレンズやバッテリーを含めると
10kg~20kgにもなります。
それを肩に担ぎ、何時間も不安定な体勢で撮影を続けるため
強靭な体力がなければ、まず務まりません。
腰痛や肩の故障は職業病です。
• 2. 終わりなき「不規則な生活」(厳しい)
テレビ業界に「定時」や「カレンダー通りの休日」は
ほぼ存在しません。
ロケが押せば帰りは深夜、早朝の生放送があれば日の出前に出勤。
「待ち時間」も非常に長く、体力と忍耐力が試されます。
• 3. 常に伴う「危険」
• 報道カメラマンの場合
これが最も「危険」です。
災害現場(土砂崩れ、洪水)、紛争地帯、事件現場など
自らの生命の危険がある場所にも
取材のために飛び込まなければなりません。
• その他の場合
過酷な自然環境(雪山、炎天下)でのロケによる
熱中症や凍傷のリスク。重い機材運搬中の転倒など。
• 4. プレッシャー
「撮り直しがきかない」というプレッシャー。
あなたのミスひとつで、番組が成立しなくなる可能性があります。
あなたはどっち?
カメラマンに向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「体力」と「忍耐力」に自信がある人
• 精神的に極めてタフで、プレッシャーの中で冷静さを保てる人
• 「映像」や「カメラ」が、異常なまでに好きな人
• 好奇心が旺盛で、常に「面白い画」を探している人
• 協調性があり、チームでひとつのものを作れる人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 体力に自信がない人、潔癖症の人(泥だらけになることも多々)
• 地道な作業や、「待つこと」が嫌いな人
• 人からの指示(ディレクターの演出)に、反発してしまう人
• 「華やかな世界」に憧れているだけで
泥臭い努力をする覚悟がない人
絶対に取り逃せないという
計り知れないプレッシャー
テレビカメラマンは、単なる「撮影係」ではありません。
それはディレクターの意図を汲み取る「理解者」であり
最高の瞬間を切り取る「芸術家」であり
そして何より重い機材とプレッシャーを背負い
現場を駆けずり回る「アスリート」です。
その道は99%の地道な準備と忍耐
そして1%の「決定的瞬間」でできています。
しかし、その1%の瞬間すなわち
「自分の撮った映像で、日本中を感動させた」という喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その重いカメラを担ぎ続けているのです。
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