シンガーソングライターの仕事とは?
年収・なり方から「作れない」地獄
最高のやりがいまで徹底解説!
一本のギターと、ひとつの声。
自らの心の叫び、喜び、悲しみを「作詞」「作曲」し
自らの「歌声」で世に放つ、音楽のすべてを担う表現者
「シンガーソングライター」。
あいみょん、米津玄師、宇多田ヒカル…。
時代を彩る多くのアーティストが
このスタイルで世界を魅了しています。
「歌手」が他者の創った作品を歌う「表現者」であるのに対し
シンガーソングライターは
ゼロから作品を生み出す「創造主」でもあります。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「シンガーソングライター」という
最も孤独で、最も純度の高い自己表現である仕事の
リアルを徹底的に解剖します。
シンガーソングライターになるには?
必要な資格は?
A. 法律で定められた必須の国家資格や免許は
一切ありません。
究極的には、あなたの「歌」と「楽曲」が「商品」として認められ
それを聴くためにお金を払う人がいれば
あなたはプロのシンガーソングライターです。
【「資格」より「デビュー」が全て】
プロとして活動するためには
まず「デビュー」の壁を突破し
継続的に「作品」を世に出し続ける必要があります。
【プロになるための主なルート】
1. SNS・動画サイトからの発掘(現代の王道)
これが、現代の最も大きな流れです。
YouTubeやTikTokなどで
自作のオリジナル曲を発表し続け(作ってみた)
それがバイラルヒットすることで
レコード会社からスカウトされるケースです。
2. オーディションに応募する
レコード会社や事務所が主催する
シンガーソングライター専門のオーディション
(例:YAMAHAのMusic Revolutionなど)でグランプリを受賞し
デビューのチャンスを掴みます。
3. ライブハウス・路上でのスカウト
地道にライブ活動を続け、業界関係者の目に留まり
スカウトされる最も伝統的な道です。
「歌が上手い」のは最低条件。
それに加え、人の心を掴む「作詞センス」と「作曲センス」
そして時代が求める「カリスマ性」が求められます。
具体的な仕事内容は?
24時間が「創造」
プロのシンガーソングライターの仕事は
レコーディングスタジオやステージの上だけでなく
その「生みの苦しみ」こそが仕事そのものです。
• 1. 創造(作詞・作曲)
これが仕事の9割であり、最大の地獄です。
日常のすべてが、ネタ探しの時間。自分の内面と向き合い、「何を歌うべきか」を自問自答し、メロディと歌詞をゼロから生み出します。締め切りに追われながら、「一行も書けない」スランプと戦う、孤独な作業です。
• 2. 楽曲制作(アレンジ・デモ制作)
生み出したメロディと歌詞を、編曲家(アレンジャー)と相談しながら
聴かせられる形(デモ音源)にしていきます。
• 3. レコーディング
「歌手」としてスタジオで
自らの楽曲を最高のパフォーマンスで録音します。
• 4. ライブ・コンサート活動
自らの楽曲を、生で観客に届ける
最も重要な「表現」の場であり、「収入源」のひとつです。
• 5. プロモーション活動
テレビやラジオへの出演、雑誌のインタビュー
SNSでの発信など、自ら「広告塔」となり作品を世に広めます。
気になる給料・年収事情
この問いに答えるのは、最も困難です。
なぜなら、収入は「ほぼゼロ(赤字)から数十億円」まで
天と地以上の差があるからです。
「シンガーソングライターとして
専業で生活できている人は、ほんの一握り」
これが、まず知るべき厳しい現実です。
• 収入源の核:「印税(いんぜい)」
これが「歌手」との最大の違いです。
1. 著作権印税(JASRACなど)
自ら作詞・作曲しているため、カラオケやストリーミング
テレビで曲が使われるたびに「作者」としての使用料が入ってきます。
2. アーティスト印税
CDの売上や、ストリーミング再生数に応じて
「歌唱者」としての印税が入ってきます。
シンガーソングライターは
この両方(またはより多くの割合)を得ることができます。
• その他の収入源
• ライブのチケット代、グッズ販売の売上
• 楽曲提供: 他のアーティストに曲を提供した際の「印税」
• 出演料(テレビ、フェスなど)
【収入の目安】
• 新人・インディーズ
年収 ほぼゼロ ~ 100万円
収入源は、小規模なライブのチケットノルマや、手売りCDが中心。
アルバイトをしなければ生活は不可能であり
むしろ機材費やスタジオ代で赤字です。
• 中堅(専業)
年収300万円~1,500万円
ライブ活動と、印税(特にカラオケやストリーミング)で
ようやく「音楽」だけで生活できるようになります。
• トップスター(国民的ヒット)
年収 数億円~
ドームツアーが満員になり
印税が莫大な額になる、夢の世界です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「自己表現」
• 「ゼロから100まで」が、自分
これが最大のやりがいです。
自分の頭の中にしかなかった「想い」が
メロディと歌詞になり、自分の声で世に放たれ誰かの心に届く。
この「100%自分」の作品で人を感動させられる喜びは
何物にも代えがたいものです。
• 自分の「言葉」が、誰かの「お守り」になる
「この曲に救われました」
「この歌詞が、今の私そのものでした」という
ファンからのダイレクトな反応。
• 「作品」が、永遠に残る
自分が生み出した曲が、カラオケで歌い継がれ
時代を超えて「スタンダード」になる可能性があります。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. 終わりなき「生みの苦しみ」(スランプ)
これが最大の「危険」であり、最大の「厳しさ」です。
「売れなければ」というプレッシャーの中で
「何も思いつかない」「良い曲が書けない」というスランプは
精神を直接的に蝕みます。
• 2. 圧倒的な「孤独」
「創造」は、誰にも代わってもらえない
たった1人の作業です。
その孤独に耐えうる精神力が必要です。
• 3. 経済的な不安定さ
「ヒットが出なければ、収入はゼロ」。
次の作品へのプレッシャーは計り知れません。
• 4. 喉(のど)の故障
「歌手」としての側面も持つため
声帯ポリープなどの故障は
即「失業」に繋がる危険があります。
あなたはどっち?
シンガーソングライターに
向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「歌うこと」と「作ること」が
両方とも死ぬほど好きな人
• 「伝えたいメッセージ」「表現したい世界観」を
自分の中に強く持っている人
• 精神的に極めてタフで、孤独を愛し
スランプに陥っても自分を信じ抜ける人
• 地道な努力(練習、SNS発信)を
コツコツと続けられる人
• 時代の空気を読むのが得意な人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 「歌うのは好きだが、ゼロから生み出すのは苦痛」な人(歌手向き)
• 人からの批判(ダメ出し)に、ひどく落ち込んでしまう人
• 地道な作業や、孤独が嫌いな人
• 「有名になって楽をしたい」という気持ちが先行している人
ゼロから作品を生み出す「創造主」
シンガーソングライターは、単なる「歌が上手い人」ではありません。
それは、自らの「心」を削って「作品」を生み出し
それを自らの「声」で世に問う
最も純度の高い「芸術家」であり孤独な「創造主」です。
その道は、99%の苦しみと、1%の歓喜でできている
と言っても過言ではありません。
しかし、その1%の歓喜すなわち
「自分の全てを込めた歌で、誰かの人生を動かせた」
という瞬間の喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい「創造」の道を選び続けているのです。
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