メイクアップアーティストの仕事とは?
年収・なり方から「キツい」激務
美容師免許の必要性まで徹底解説!
雑誌の表紙を飾るモデル、映画で役を生きる俳優
人生で最も輝く日の花嫁。
その「美」を、魔法のような技術で最大限に引き出し
作品の世界観を完成させる「美の職人」。
それが「メイクアップアーティスト
(ヘアメイクアップアーティスト)」です。
「芸能界で働きたい」
「メイクで人を幸せにしたい」
そんな華やかなイメージとは裏腹に
その仕事は、想像を絶する「裏方」としての過酷な激務と
常に結果を求められるプレッシャーとの戦いです。
この記事は、[芸能・芸術の職業大全]の一部として
そんな「メイクアップアーティスト」という仕事のリアルを
その収入源から厳しい現実
そして何物にも代えがたいやりがいまで、徹底的に解剖します。
メイクアップアーティストになるには?
「美容師免許」は必須?
A. これは、この仕事を目指す上で
「最も重要」な分岐点です。
• 「メイクだけ」なら、資格は不要。
法律上、「メイクアップ」だけを施す(顔に化粧をする)のに
国家資格は必要ありません。
• しかし、現実は「ヘアメイク」が99%。
実際の現場(撮影、結婚式など)で求められるのは
「ヘアメイクアップアーティスト」です。
つまり、メイクと同時に「ヘアセット」も行います。
• 「ヘアセット」は、美容師免許が必須!
お客様の髪に触れ、コテやスプレーを使って
ヘアアレンジを施すことは、「美容行為」にあたります。
これを仕事(有料)として行うには、
「美容師免許(国家資格)」が法律で義務付けられています。
結論
本気でプロの「メイクアップアーティスト」として
撮影現場やブライダルで活躍したいのであれば
美容師免許の取得が、事実上のスタートラインとなります。
【プロになるための主なルート】
1. 美容専門学校(2~3年)に通い、「美容師免許」を取得する。
2. 卒業後、以下に進む。
• ヘアメイク専門のプロダクション(事務所)に所属する。
• 有名なアーティストの「アシスタント」になる。
(※最も過酷だが、最も成長する道)
• ブライダルサロンや、美容室のヘアメイク部門に就職する。
具体的な仕事内容は?
活躍の場は多種多様
メイクアップアーティストの仕事は
「どこで」「誰に」メイクをするかによって、その内容が大きく異なります。
• 1. 映像・メディア系
(雑誌、広告、テレビ、映画)
最も華やかで、最も過酷な現場です。
• 監督やデザイナーの「意図」を汲み取り
作品の世界観に合わせたメイクを施します。
• スタジオや過酷なロケ現場に同行し
汗や光の加減で崩れるメイクを、瞬時に直します。
• 俳優やモデルが最高のパフォーマンスを発揮できるよう
コミュニケーションを取ることも重要な仕事です。
• 2. ブライダル系(結婚式)
最も「失敗が許されない」責任ある現場です。
• 花嫁の人生最高の日を演出すため
数ヶ月前からリハーサルを重ね
その人の美しさを最大限に引き出します。
• 当日は、涙でも崩れない高度な技術と
花嫁の緊張をほぐす気配りが求められます。
• 3. 美容部員(BA:ビューティーアドバイザー)
百貨店の化粧品カウンターなどで
自社ブランドの化粧品を販売しながら、お客様にメイクを施します。
気になる給料・年収事情
この問いに答えるのは、最も困難です。
なぜなら、収入は「ほぼゼロから数千万円」まで
天と地以上の差があるからです。
• 収入源:「ギャランティ(報酬)制」または「月給制」
【収入の目安】
• アシスタント時代:年収 100万円~200万円
これが、この仕事の最大の「壁」です。
「師匠」のアシスタントとして、無給(または日給数千円)で
掃除、洗濯、運転手、重い荷物持ちなど
雑務のすべてをこなします。
生活は、ほぼ100%アルバイトとの両立です。
この下積み時代(3年~5年)を耐えきれず
辞めていく人が9割とも言われます。
• 企業・サロン勤務
年収 300万円~450万円
ブライダルサロンや
ヘアメイク事務所の「正社員」として働く場合。
安定した収入が得られます。
• フリーランス(中堅~トップ)
年収 600万円~数千万円
独立し「指名」で仕事が来るようになれば
収入は青天井です。
CM1本、雑誌の表紙1冊で
数十万円のギャラを得ることも可能です。
仕事のやりがいと大変なこと・厳しさ
やりがい
究極の「美の創造」
• 自分の「技術」で、人が輝く瞬間に立ち会える
これが最大のやりがいです。
メイクによって、コンプレックスが自信に変わり
モデルや俳優が「役」に入り込む。
その「魔法」のような瞬間を、ゼロから生み出せる喜び。
• 「ありがとう」という、最高の言葉
特にブライダルで花嫁さんから
「あなたに頼んで本当によかった」と
涙ながらに感謝された時の感動は、何物にも代えがたいものです。
• チームで「作品」を創り上げる達成感
カメラマン、スタイリスト、監督…
多くのプロフェッショナルと力を合わせ
ひとつの作品(雑誌の1ページや、映像)を創り上げた時の達成感。
大変なこと・厳しいこと・危険なこと
• 1. 圧倒的な「肉体労働」(キツい)
「メイク道具の入ったトランク(通称:箱)が
◯ぬほど重い」
これが、全アーティスト共通の悩みです。
何十キロもある「箱」を引きずり、ロケバスにも乗れず
電車で移動することも日常茶飯事。
そして、撮影現場では、一日中立ちっぱなし
中腰の姿勢が続きます。腰痛は職業病です。
• 2. 過酷な「時間外労働」(厳しい)
「早朝・深夜」が当たり前
ドラマやロケの入り時間は、早朝4時ということも珍しくありません。
当然、終電もありません。
プライベートな時間はほぼないと考えた方が良いです。
(特にアシスタント時代)
• 3. 職業病という「危険」
これが最大の「危険」です。
• 手荒れ(アレルギー)
薬剤(リムーバーなど)や、化粧品に触れ続けるため
「アレルギー性皮膚炎」を発症し
手がボロボロになることがあります。
これが原因で、夢を諦める人も少なくありません。
• 4. 精神的なプレッシャー
「失敗が許されない」という緊張感(特にブライダル)。
そして、監督やモデルといった「人」を相手にする
高度なコミュニケーション能力と
機嫌に左右されない精神的なタフさが求められます。
あなたはどっち?
メイクアップアーティストに
向いている人・向いていない人
【向いている人の特徴】
• 何よりもまず、「メイク」と「人」が、異常なまでに好きな人
• 精神的・肉体的に極めてタフで
睡眠不足や重い荷物に耐えられる「体力」がある人
• 「華やかな世界」への憧れより
「裏方」として人を支えることに喜びを感じる人
• 地道な作業(掃除、練習)を
コツコツと続けられる忍耐力がある人
• 「空気を読む」のが得意で、コミュニケーション能力が高い人
【向いていない人の特徴】
• 安定した収入や、カレンダー通りの休日を望む人
• 体力に自信がない人、潔癖症の人
• 地道な作業や、裏方仕事が嫌いな人
• 人からの批判(ダメ出し)に、ひどく落ち込んでしまう人
• 「自分がメイクされる」のは好きだが
「人に施す」こと自体に情熱がない人
強靭な心と体を持った、誇り高き「職人」
メイクアップアーティストは
単なる「メイクが上手い人」ではありません。
それは、芸術家としての「感性」と
美容師としての「技術」
そして何より現場を支える「タフな裏方」としての
強靭な心と体を持った、誇り高き「職人」です。
その道は、99%の地道な努力と、1%のスポットライトでできています。
しかし、その1%の輝きすなわち
「自分の手で、人を最高に輝かせた」という瞬間の喜びが
他の全てを凌駕するほどの魅力を持っているからこそ
今日も多くの人が、その険しい「美の道」を目指し続けているのです。
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