西洋料理に関するマナー
今回は西洋料理に関するマナーになります。日本料理とは違い座敷からテーブルとイス、食器もお箸ではなくなったりと覚えることがあります。ひとつひとつ見てみましょう。
イスに座ります
イスに座る際なのですが、テーブルマナーの基本として食事中に席を立つ行為(中座)はあまり良い行為ではありません。やむをえない場合を除いては席から離れずに済むように先にお手洗いを済ませておきましょう。西洋の考え方としてはレディファーストになりますので、もし女性や目上な方がいらっしゃれば先に通してあげましょう。自分はその後に席に着きます。基本的にはウェイター、係の方がいますので誘導してもらいます。好きな場所へは座りません。
席に到着したら椅子の左隣に立ちます。ウェイターが椅子を引いてくれますのでテーブルの前に立ち椅子を押してもらい着席します。自分のタイミングで着席しないようにしましょう。ちなみにナプキンがありますが、基本的には料理が運ばれてきてから膝の上におきましょう。
ナプキンについて
日本料理では懐紙(かいし)というものを準備していきましたが西洋料理の席では基本的にはナプキンが各席に準備されています。先述の通り、料理が運ばれてきたタイミングでナプキンを二つ折りにして膝の上に乗せます。
食事中に指先や口元や汚れてしまった場合には二つ折りしたナプキンの内側でゆっくり拭き取ります。内側を使うことで服にも汚れが映ることがなく、周りからもナプキンの汚れが目立ちにくくなるという理由があります。好ましい行為ではありませんが、一時的に席を立つ(中座)際にはナプキンを椅子の上に置くか背もたれにかけておきます。これが戻るという合図になります。
食事の席を出る際はナプキンを畳んでテーブルの左側におきます。この際に少しずらすように畳むと キレイに畳むのを忘れるほどに美味しかったです という意味になるのだそうです。ナプキンをキレイに畳んだ状態でも次にそのまま再利用するわけではないので少しずらして畳んでみるのも良いと思います。
コース
西洋料理のコースはイタリア料理とフランス料理に分けられます。
イタリア料理の場合は以下のような順番になります。
- ストゥッキーノ(食前酒)
- アンティパスト(前菜)
- プリモ・ピアット(パスタ・スープ・リゾットなど)
- セコンド・ピアット(メイン(魚か肉料理を選択))
- フォルマッジィ(サラダ)
- ドルチェ(デザート)
- カッフェ(コーヒー)
ドルチェやカッフェなど聞いたことのあるような言葉が出てきたと思います。順番をなんとなく把握できていれば特に問題ないと思います。
続いてフランス料理のコースを見てみましょう。
- アミューズ(食前酒)
- オードブル(前菜)
- パン
- スープ
- ポワソン(魚料理)
- ヴィヤンド(ロースト以外の肉料理)
- ソルベ(お口直し)
- ロースト(した肉料理)
- レギューム(サラダ)
- フロマージュ(チーズ)
- ケーキ
- フルーツ
- コーヒー・紅茶
場所により順番や出るもの出ないものがあるかもしれません。
食事中良くない行為など
- イタリア料理に比べて品数が多いので途中でこれ以上入らないと判断した場合は運ばれてくる前にウェイターに伝えておきましょう。基本的には運ばれてきた料理は食べ切るのが礼儀です。食べきれなくなる前に話を通しておきましょう。
- 食器の音を立てる。日本料理と違って食器は陶器や金属製のものが多く、当てると比較的大きな音が簡単で出てしまいます。あまり気にしていなくても周りは結構気になってしまうかもしれません。音を出さずに静かに食べることを意識しましょう。
- スープなどを音を立てて飲む。日本では熱いものを空気と一緒に飲むことで多少冷ましてくれる方法ですがスプーンを使って飲む西洋料理の際には良いものではありません。海外ではマナー違反だと思われてしまうかもしれません。
- 料理や食器のシェア。後に出てくるカトラリーですが、料理や飲み物によって使い分けるために似たような食器が複数種類用意されています。中には使わない食器があるかもしれません。その食器を誰かに貸し借りする行為は良い行為ではありません。残った料理を譲ったり受け取る行為も同様です。
- 基本的に右手でナイフを持ち左手でフォークを持ちます。左利きだからといってこれを入れ替えて使うのはよくありません。どうしても難しいという場合は事前に逆で使うことを伝えておきましょう。
- 先に運ばれてきたからいきなり手を伸ばす。ウェイターの数も限られています、同時に全員に料理が運ばれることは難しく、どうしても最初と最後で時間差が生じてしまいます。最初に運ばれてきたからといっていきなり料理に手をつけないように気をつけましょう。必ず全員に料理が運ばれたことを確認してからいただくようにしましょう。
- グラスを持ったまま食器を持つ。グラスを持って空いた片手でフォークやスプーンを持ち食事をするのはよくありません。グラスから飲み物を揉むときは一度カトラリーを手放してからグラスを持ちましょう。
- ウェイターを大声で呼ぶ。お喋りが弾む食事の席では自分の声が通らないこともあるかもしれません。それでも何か用はないかウェイターは周りを見て気を配ってくるれています。ここは声を出すのではなくてウェイターを見て目で訴えたり軽く手を挙げたりといった行為で呼ぶようにしましょう。
- 落としてしまったカトラリーを拾う。落としてしまうこと自体あまりよくないのですが、万が一落としてしまうこともあると思います。その時には自分で拾うのではなくてウェイターにお願いするようにしましょう。このくらい人に頼んでしまうのは申し訳ない…という良心が働くかもしれませんが、その行為でホコリが舞ったりクロスがズレたり床に触れた手で食事をすることになったりと逆によくありません。
カトラリーについて
今まで何度も出てきましたがカトラリーとは食器のフォーク、ナイフ、スプーンなどです。これらがひとつの席に複数個ずつ置かれているのが一般的です。運ばれてきた料理の順に内側から使っていくのが基本になります。万が一間違えて使ってしまった場合はウェイターが新しいものを持ってきてくれます。
お皿に乗った料理を食べ終わったら右下(4〜5時)の方向にカトラリーを揃えておきます。それが食べ終わりの合図になります。
食事の途中でカトラリーを置きたいときはお皿にハの字になるようにおきます。これが食べている最中だという合図になります。
各料理の食べ方色々
- スープはイタリア料理とフランス料理で作法が違います。音を立てないというのは共通して言えることですが、イタリア料理は手前から奥へ向かってすくいます。少なくなってきたら手前を持ち上げてすくいます。フランス料理は逆になります。奥から手前に向かってすくい、少なくなってきたら奥を持ち上げてすくいます。
- パスタは基本的にフォークのみでいただきます。スプーンは使いません。
- パンは小さなパンが出ますが一口サイズにちぎってから食べましょう。丸ごといかないように注意が必要です。
- 魚料理(焼き)は頭から尾に向かって切り込みを入れて背びれの上の部分から身を外します。次に下の身と骨の間にナイフを入れていきます。
- 肉料理は先にソースをかけて、一度に切り分けずに食べる分だけをその都度切っていただきます。串が刺さっている場合は抜いてからいただきます。
なかなか慣れない空間で緊張してしまいそうな席かもしれませんが、ひとつひとつの動作を確実に丁寧にやっていきましょう。実際に食事の前に練習しておくのも良いと思います。
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